Yukon Arctic Ultra 2016
ホワイトホースへ輸送
9時近く明るくなってから起床。よく眠れた。今日は車でホワイトホースに戻れる。荷物をまとめていつでも移動できるように準備する。9時半を過ぎて急に慌しくなりスタッフたちも撤収の準備を始めた。10時ごろトレーラーに荷物を積んでMcCabeを出発。直接ホワイトホースへ戻るのではなくペリークロッシングに寄ってそこでもうフィニッシュした他の選手や荷物をピックアップしていくらしい。40kmほど離れたペリークロッシングに10時30分ごろ到着。主催者ロバートがみんなの出迎えをしていて「ストップさせてしまってごめんよ(英語で)」と言われた。それは仕方のないことなので、こちらこそ「まだ走れる」とか言って申し訳ない。
出発前にペリークロッシングで朝食が食べれるとスタッフが言っていた気がしたが、そんな様子もなくしばらく待つ。ここには300マイルのフィニッシュゲートが作られていて自分の足でこれたらよかったなと思う。去年ブレイバーンで感じたのと同じかな。去年よりも自分の足で進んだ距離が230kmほど延びたので、だいぶましにはなったけれど。少しするとペリークロッシングでの荷物の積み込みが始まり、荷物の中に自分のドロップバッグもあるのが見えた。11時ごろペリークロッシングを出発。ホワイトホースへ向かう。
車はアラスカハイウェイを時速100kmで走っていく。どこまで行っても変わらない景色。ただしいい景色であることには違いない。朝食を食べていないのでお腹が空いてきたがカーマックスでスーパーに寄ってくれるらしい。12時過ぎにカーマックス到着。カーマックスのスーパーはアラスカハイウェイ沿いのドライブインみたいなところ。ここでサンドイッチとリッツとコーラを買う。車は12時30分過ぎにカーマックスを出発し15時ごろホワイトホースに到着した。車で戻ってもかなり遠い。
ハイカントリーインでレンタル装備を返して自分の荷物を受け取り櫛田さんに電話する。ちょうどダウンタウンに来ているそうで10分くらいでピックアップに来てくれるとのこと。櫛田さんにピックアップしてもらって去年も宿泊したストラッドフォードモーテルへ。レース前はブリーフィング会場になるハイカントリーインに毎日のように行く必要があったのでハイカントリーインに宿泊していたが、レース後は少し安いストラッドフォードモーテルへ引越し。キッチン・バス付きで部屋も広く(1LDK)127カナダドル(1カナダドル=90円くらい)と1人で宿泊するにはやや高いがハイカントリーインは簡易キッチン・シャワー(1K)で150カナダドルだったので引っ越す価値はある。
夜れなっちに電話しようと思っていたので櫛田さんの衛星携帯をもう少しだけ借りておくことにした。夕方まずはスーパーに食べ物・飲み物の買い物に出かける。明日の洗濯物祭りに備えて洗剤も買ってきた。今日は日本は2/11で祝日でれなっちは自宅にいるようだったので時間を気にせず電話する。しかし部屋の中だと窓際でも衛星携帯の電波はかすかでつながらなかった。そこでiphoneのアプリ(viber)で電話したところ音質も良かったし遅延もなく快適だった(モーテルのwifi使用)。れなっちと電話でレース中のことやレース中に考えた4月に生まれる子供の名前について1時間ほど話をした。
さっそくレースのレポートを書き始めかなりの深夜(明け方?)に力尽きるように就寝。
帰還速報
残念ながら今回もリタイアでした。到達地点はGPSで308km。ゴールまで約180kmを残すことになりました。 リタイアの原因はソックス・シューズを濡らさないために多用したベイパーバリアライナーです。 ベイパーバリアライナーとは足にかいた汗をソックスに吸わせないように簡単に言えばビニールのようなものを足に履き、 その上にソックスを履いて使います。汗でソックスやシューズを凍結させないだけでなく、足の表面に水分を保つことで温かくすることもできます。ただ長時間使った場合は皮膚が蒸されてふやけてきます。 足がふやけて血豆のようなものができ擦り切れて足の指の付け根から出血するようになりました(ほぼ全部の指)。 痛みでペースが上がらなくなったのと主催者のチェックで感染症の危険があるため続行不可と判定されました。(ドクターストップ)
ふやけて擦り切れるのは予想できていましたが、途中で足がふやけてきたところで足を休ませるため(少し乾燥させるため)にベイパーバリアライナーを外したところ去年と同様に自分の足の汗でシューズが凍結してきたので、ベイパーバリアに戻して悪化させてしまいました。
ではどうすればよいのか、ですが、今回も第二の方法として用意はしていたのですが湿らせてしまったソックスをどんどん交換していくという方法があります。そして超低温(マイナス40度など)のときだけベイパーバリアを使うのが有効だと思います。 ちなみにグローブとウェアもベイパーバリアしていましたが、汗をかくようなペースでも外側のものを湿らせることなく最小限の交換(ほぼ交換の必要なし)でおこなうことができました。
今回はゴールまで行けると思っていたのでとても残念ですが、落ち着いて考えてみると去年はダメすぎて残念ですらなかったんだよなあと思えば少なくとも前進はした、ようやくこのレースがどんなものか語れるようになった気がします。 今回は前回と違いコースのけっこうな部分を見ることができたので、もう一度そのコースをたどりたいかと言えば、今は「もう勘弁」という気持ちです。それくらい長く、単調で、厳しいコースです。単調の一番の理由は季節的に夜の時間が長いというのも原因の1つだと思います。 それと引き換えにオーロラも美しいレースです。凍った湖を走りながら見たオーロラは忘れることはないでしょう。
また4月に生まれる予定の子供の名前をレース中に考えておくという自分の宿題があり、一番印象的だった凍った湖のオーロラの場所で決めました。まあ名前自体は妻(れなっち)が「なんとなく響きで」と出していたものに賛同した形ですが意味付けをし、先ほど電話でれなっちに報告をして決定しました。 ほんとうは完走をしてこうしたいと思っていて、絶対完走と心に決めていたのでとてもとても残念です。
あと心に残ったのはチェックポイントでのおもてなしです。食事をいただけるのですが、どの場所でもボリュームがありおいしく選手に力を付けてもらおうという気持ちが伝わってきます。外の環境が危険なだけに余計にそう感じるのだと思います。私にとってチェックポイントでほっとできるナンバー1のレースです。
帰国は2/15発、2/16着なのであと数日ホワイトホースでのんびりしながらレースレポートを作成しようと思います。