Yukon Arctic Ultra(本編)
1人ユーコン1回目 Day 1
13時スタートでロング練習(一人ユーコン)へ。レースのとき自分の汗でソックスとシューズを凍らせてしまったため、その対策として何ができるのかということでベイパーバリアライナーを試す。 ベイパーバリアライナーは製品もあるが、今実験するためビニール袋で代用する。ビニールの上からメリノウールソックスを履き、さらにsealskinzを履く。 気温は毎日マイナス一桁むしろ0度近くまで上がってしまったが、1日履いてメリノウールソックスが湿っていなければ成功だろう。 コースはマウントシマスキー場のあたりからコールレイク方面に登って行くトレイル。 どうしてもホワイトホースから長距離トレイルを歩こうとすると登って行くことになるためレースのコースよりもハードになる。
途中で山から降りていくスノーモービルに出会った。しばらくしてスノーモービルが戻ってきて「あなたのか?」とグローブを差し出す。 いつのまにかグローブを落としていた。カラビナでソリのハーネスにぶら下げていたのにどうやって落ちたんだろう。 厳しい環境で装備を紛失するのは物によっては命に関わるし、今回お世話になっている櫛田さんにもことあるごとに言われているのに、 十分気をつけているつもりでもこういうことがおこる(実は今回レース中含めけっこうぽろぽろ落し物、忘れ物をしている)。 スノーモービルの人が「どこに向かっているかわかっているか?この先雪が深くなるぞ」と言った気がする(英語あまり聞き取れないんで)。 「わかっている。今夜はキャンプする」と伝えて先へ進む。
だいぶ暗くなってきた頃、山頂というわけではないと思うが(広いピーク?)展望台のようなところについた。看板が設置されていてスノーモービルや人の足跡がたくさんある。 下のほうに照明のついたアラスカハイウェイが見える。ヘッドライトをつけてしばらくスノーモービルの跡を進むとスノーモービルが引き返した形跡がありトレースがなくなってしまった。 流石に冬に夜に初めての場所をトレースなしで進む気になれず引き返すことにする。 山から下りてマウントシマスキー場を通過しいつものトレイル(whitehorse copper trail)へ入る。 トレイルは昨日降った雪と、あと気温が上がったためか雪が柔くて歩きにくい。加えて眠くなってくる。 櫛田さんの家の近くのトレイル入り口(オーロラ見に来たところ)まで行ってキャンプにしようと脚を進め続けるが右左に蛇行しているのがわかる。 なんとか耐え切って午前2時30分到着。車に踏まれて雪が薄く硬くなっているところにツェルトを立てる。
ソックスを脱いでみるとツェルト内に異臭が立ち込める。ベイパーバリアで汗を封じ込めるとこんなひどい臭いになるのか。 でもソックスは乾燥したままで効果は十分ありそうだった。もう一つの試しはマット。レースで使ったサーマレストXサーモはマイナス30度以下でも寒さを感じなかったが、 ちょっと横になりたい程度の休憩のときにもいちいち膨らませないといけないのと、付属のスタッフサックを使って空気を送り込めるようになっているのだが、 超低温時に空気が送り込めなくなってしまい(吹き込み口のプラスチックが硬くなるから?)レース中は口で空気を吹き込んでいた。 口で吹き込むと息に含まれた水分が凍りつくという問題があり、レース中は3回目の使用時に凍結で空気が入れられなくなった。これは吹き込み口をお湯で温めてから使うことで解決はしたが。 性能はよいが問題がないわけではないので今回は予備で持って来ているサーマレストZliteSolを使用。 薄いのでレースで使うとしたら2枚重ねるなど対策が必要だろうけど、マイナス一桁くらいの気温なら単体で使えないと困る。まったく寒さを感じることなく就寝できた。