Yukon Arctic Ultra(本編)

ブレイバーン(CP3)へ輸送

目が覚めると9時。今日自分がどのように動くのかよくわからないので他の参加者やスタッフの様子を伺いにテントを出る。 リタイア者と思われるソリもまだたくさんあるが自力で出発していく選手もいた。こういうのを見ると自分は判断が早すぎたのではないかと思ってしまう。 自分の立場が微妙で他の参加者たちと一緒に大会側のスノーモービルで輸送されるのか、平賀さんたちと一緒にいていいのかわからない。 テントに戻るとジャズさんが朝食を作ってくれていた。 Braeburnまで平賀さんたちと一緒に行くことになり荷物をまとめ撤収準備。CPからもどんどんリタイア者が輸送されていき人数が少なくなってきた。 ジャズさんがスノーモービルに乗る時のためにジャケット上下とバニーブーツを貸してくれた。 スノーモービルはけっこうスピードが出るので普通に過ごしているときの服装ではまずい。バニーブーツは誰かが言っていたな。 軍隊の装備で外からも中からも絶対に濡れないとか。見た目ほどは重くないし動きにくくもなかった。

お昼頃スノーモービルでdog grave lakeを出発。Braeburnについたら夕方だからホワイトホースへの戻りは明日になるかも。 スノーモービルで移動しながらコースをよく見る。自分の脚ではないから微妙な傾斜を感じないだけかもしれないけどほとんど平ら。一直線の道が多い。 ある程度進むと選手を抜かすようになってくる。どんなシューズを使っているのかと足元を注意して見るがそんなに特別なものを使っているようには見えない。 基本的にはトレイルランニング、ハイキングシューズっぽい。 革のシューズのほうがいいのかなと思ってそこにも注目したがスノーモービルからでは素材まではわからなかった。

Braeburnに到着するとCPはロッジの中。国道沿いのレストハウスという感じで通常営業しているが選手は中で休むことができる。ストーブにあたりながら取材インタビューを受ける。昨日レースを辞めた時は「こんな危険なことはもうしない」と思ったが、時間が経つと(まだ1日経っていないけど)次はどんな風にしようかと考えている。 砂漠レースのときはレースの後もスーパーで食品の重さとカロリーが気になるようになったけど、今回はシューズが気になるようになりそうだ。 このあと自分はどうなるんだろうなと思っていたら今日はホワイトホースに戻る車が出た後なので明日戻ることになるとのこと。今日はブレイバーン宿泊。 ロッジの裏に(というよりロッジに宿泊施設がある?)選手の休める部屋がいくつかあり、ここで寝て行く選手が少なく空いていればそこで寝れるとのこと。 紙に部屋が4つほど書いてあり利用状況が書かれている(と理解した)。 ドロップバッグだけはリタイアの連絡と共にホワイトホースに戻ったらしい。リタイアでも到着してすぐに使いたいものがあったら困るよなと思った。食料も入っているし。

Braeburnでは選手はレストランで1品と飲み物1つをもらうことができる。エイドを兼ねていて参加費に含まれている。巨大なハンバーガーとコーラを注文。 ハンバーガーは大きすぎてパンの部分は少し残してしまった。 取材チームもレース続行中、当然お仕事続行中なのでいつまでもブレイバーンにはいられない。 英語のできる人がいる間に主催者のロバートと話をしておきたかったので、ロバートに話しかける。 ロバートは忙しそうで少し話が途切れるとすぐに他の場所に行こうとするのだが(笑)こちらも話したいことがあり、 ロバートと自分と通訳できる人が同時に揃うタイミングはもうこないかもしれないのでがんばって繋ぎとめた。

ロバートにまず自分がやりたかったように430マイルにエントリーさせてくれたことにお礼を言う。 本当は経験のない人は430マイルにはエントリーさせてもらえないらしいところ無理やりお願いしたので。 あとはレンタルのソリを次回に向けて練習したいので21日まで借りておきたいと。快くOKしてくれた。最後にソックスをどうするべきだったのかわからないこと。 今回凍結させてしまったので。ベイパーバリアっぽくsealskinzをメリノウールの下に履いたのだが (そもそも透湿性能を甘く見ていてバリアになっていなかったのは置いておいて) ロバートが言うにはやはりメリノウールソックスの上にsealskinzがよいだろうとのこと。 ロバートはベイパーバリア派ではなく湿気を外に出す派らしいことがわかった。外に出すと超低温では凍ってしまうのだが、どんどん交換していくということだろう。

今夜の寝る場所は選手も使うロッジの部屋ではなくロバートが近くの民家?の部屋を借りてくれてそこで休めることになった。 おそらくロッジの経営者とか元からの協力者の家ではないかと思う。汚れている人たちにベッドを使わせてくれるなんてなんて心が広いんだと思う。 車で数分離れた宿泊場所へ移動。車に一緒に乗った香港のお姉さん(100マイル完走者か?)がいろいろ話しかけてくるが聞き取りが難しく、 少ししか答えを返せないので「あまり英語できなくてごめん」というと「私も中国語できないからー」と返された。 自分は中国人じゃないけどそう言ってもらえるのは少し気が楽になる。ロバートは明日の朝8時か9時に迎えに来るらしい。 ロバートは私のことを「kaba」と呼ぶことにしたようだ。どちらかというと「hide」のほうがしっくりくるんだけどまあいいか。