Yukon Arctic Ultra(本編)

グレイマウンテン2回目

今日はどうしようか考えながらもぞもぞ起き出してやっぱりグレイマウンテンに再アタックしてみることにする。山に行くならもう少し早く起きるべきだったが、けっきょく昨日と同じ。 しかし今日はしっかりした装備で行くつもりなので戻りが夜になってもいいだろう。

カークさんに今日はグレイマウンテンに行くと言うと車で送ってくれるという。時間の節約になるので大変ありがたい。昨日ようこさんに送ってもらったところまで送ってもらい12時スタート。 昨日とまったく同じ。山頂へのトレイルが左手にあるはずなので注意しながら進む。なければそのまま電波塔まで行き雪の深い稜線をピストンしようと思う。

左手に細いトレイルがあるのを見つけた。細いけど人が多く入っているようで硬くなっている。反対側の右手のほうにも同じように細いトレイルがありこちらは街の方向に降りていっている。 そっち方面には案内が立っていて「EASY MONEY」と書いてある。トレイルの案内か何かで見たコース名称なので山頂につながる道かと思って左手に登って行く。 どんどん高度が上がり期待大。しばらくするとベンチのある展望台のようなところに出た。ここは独立したピークになっていて、グレイマウンテンに行くには一度降りなければいけなさそう。 登ってきたのと反対側にも薄く踏み跡がついているので降りていくと電波塔に向かう林道に出てしまった。

ただそこから林道とは別の分岐があり案内には「MONEY SHOT」と書いてある。これがまさにグレイマウンテン山頂につながるトレイルだ。やっと見つけた。 少しトレイルに入り込むと尾根に上がる踏み跡と沢を進む踏み跡に分かれた。山頂へのトレイルは尾根にあるはずなので尾根を選択。一部急斜面を登って行く。 分岐付近はしっかり踏み固められるくらいの足跡があったのがだんだん薄くなってくる。そしてついになくなってしまったが行けるところまでと尾根を登って行く。 すると岩の崖に阻まれてしまった。それでもこの辺りの尾根に夏山のトレイルがあるのは確かなので崖を回り込んで登れるか多少藪をどけながら左右の様子を見るが難しそう。 崖を見上げるとその上にも階段状に崖が見える。崖と言っても垂直なわけではないが落ちたら危険なのでやめることにする。

下まで戻り沢沿のトレイルも少し進んでみるが、やはりだんだん薄くなってなくなってしまった。おそらく最初の人が行けるかな?と入ってみてやっぱりやめて、 次の人が踏み跡があるところまで行ってそこから少し先の様子を見てやめて、また次の人がと繰り返しているうちに踏み跡が延びていったんじゃないかなと想像。 だから入口に近いほどはっきりしたトレイルになっている。だとすると今回尾根のほうはけっこうがんばって延長したので次の人は崖を超えることになり危ない。

正規の登山道が埋まっていてしかも崖があることが確認できたので、もし電波塔から山頂に行ったとしても登山道を降りてくる気にはなれない。 時間もけっこうロスしてしまったがとりあえず電波塔まで行ってみるかと林道を進む。するとまたも左手に分岐。けっこう無理やり直登している感じだが足跡はたくさんある。 ハイキングマップにもこんなところに道はなかった。冬限定のルートなのか?とりあえず行ってみることにする。急斜面だが踏み跡はしっかりしている。高度もどんどん上がり電波塔よりも高くなった。

いよいよ山頂か?というところで踏み跡に点々と赤いものが混ざっているのに気がつく。これは血かな。気持ち悪いなと思いながら赤い点々と足跡を追っていくと岩の崖がある。 そこに大きな穴が空いていて赤い点々と足跡はその穴の中に消えていた。そこ以外に踏み跡はない。GPSを見ると岩崖の上あと少しくらいのところが稜線で、上がったら稜線の移動距離はわずかで山頂。 しかし残念だけどそっと立ち去ることにした。血?の跡が続いている穴に近づきたくない(笑)崖の上に上がるルートもぱっと見わからないし。

すっかり時間も経ってしまったし、いまから電波塔経由で山頂を目指すとかやる気がなくなってしまったので帰る。1つ確かなことはここしばらくの間にグレイマウンテンの山頂に立った人はいない。 長いロードを歩いて17時過ぎに帰着。移動距離17km。ホワイトホース市民のお手軽トレッキングコースは手強かった。 さすがユーコン!おそるべし!2日続けて敗退するとは。これでユーコンでのアウトドア活動は終了。明日は滞在最終日で街をぶらぶらしようと思う。