南アルプス山岳記録
2011/08/13(土)〜14(日)
【1日目】畑薙第一ダム〜椹島ロッジ〜荒川岳〜百間洞山の家
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トランス・ジャパン・アルプス・レース(通称TJAR)出場に向けて南アルプスに練習に出かけた。 今回のポイントは2つ。「書類選考にエントリーするための標高2000m以上でのビバーク体験」 「南アルプスの雰囲気を下見する」ことが目的。今回のコースは南アルプスの後半部分を縦走する。 出発の8/12(金)は赤坂で飲み会。Racing The Planetのサマンサが来日した歓迎会。 南アルプスに向けて出発するため登山の準備をして飲み会に参加し21時30分に途中退席。 22時に東京駅八重洲口で小野くんと待ち合わせ。小野くんの車で出発する。
首都高速、東名高速と車を走らせ・・・横浜・町田付近までははっきり記憶があるが、 その後は気が付くと沼津だった・・・。小野くんが1人で運転してくれている間に爆睡してしまった。 静岡あたりで東名高速を降りて一般道へ。ここから畑薙第一ダムまで80kmほど。 そして、またまた夢の中へ(笑)気が付くと外は明るくなりはじめたが車はくねくねとした道を走っている。 想像していた以上に遠い。出発から7時間ほどかかってようやく畑薙第一ダムの手前の臨時駐車場に到着。
朝食を食べて出発の準備。自分はある程度睡眠できたが小野くんは1時間程度の仮眠しかしていない。 6時半に準備完了して出発。ここから荒川岳への登り口まで退屈な林道走りが続く。 今回は新しく買ったばかりのザック「RaidLight Evolution Light 2」を使用。 このザックは砂漠レースで多くの選手が使っていて砂漠レースザックと言っても問題ないくらい。 特徴は背負うザックが20リットルで、前に4リットルの大きめのウェストバッグを装着すること。 これにより前後バランスを良くして体の負担を減らしているようだ。 前後のザックを着るような感じになりウェストベルトはしっかり締めつける感じではないため 走ったら揺れるかな?と思っていたがボトルをウェストバッグのポケットに入れない状態であれば問題ない。 15kmほどの林道を2時間以上くらいかけて椹島ロッジへ。登っていないのにすでに一仕事終えた気分。
ここから荒川岳方面を見上げると気が遠くなるような絶壁。標高1000mから3000mへ一気に 2000m登ることになる。良く行く北アルプスはだいたい登り口が1400〜1500mほどにあるのだが 南アルプスは標高差が大きい。椹島ロッジで水を補給していると他のアドベンチャーレーサー御一行に出会い挨拶を交わす。 荷物をいろいろしていると持ってきたツェルトポールに目がとまる。「違うポールを持ってきてしまった・・・」 ツェルトは自立式のドームシェルターを持ってきているのにポールは通常のツェルトを立てるための 短いポールを持ってきてしまっていた。これではドームシェルターを使うことができない。 もうどうしようもないのでキャンプ地に到着してからなんとかすることにする。
まずは千枚小屋目指して登り始める。最初からポール使用でなるべく省エネ。 今日は暗くなるまで行動する予定なので先は長い。最初は激しくきつい登りだったが傾斜は少しずつ緩くなっていくような気がした。 高度計の標高を確認しながら黙々と登る。蒸し暑く汗びっしょり。 森林限界を超えると少しは気分も変わるし、涼しい風に吹かれたいので 標高2000mくらいからそろそろかと思いながら進むが、南アルプスは森林限界の標高が高いのか いつまでも樹林帯を抜け出さない。
森林抜けた!と思ったら千枚小屋に13時10分到着。ここは標高2500mは越えているのでやはり森林限界が高い。 小屋でカレーを注文し軽く食事をしてから13時35分に出発する。千枚岳(標高2879m)、荒川東岳(標高3141m)と越えて行く。 荒川東岳で14時40分。単独行だったらそろそろ疲れてキャンプ地到着という行動時間だが、 今回の今日の予定では目的地はまだまだ先。目標をうんと先に設定しているためか疲れもそれほど感じない。 とはいえ登りの力はやっぱり弱っていて(富士登山駅伝のせいにしておく)標準タイムの60%が精一杯。
荒川小屋に16時10分に到着。次の山小屋を今日のキャンプ地に予定しているためもう一息。 しかし次に到着したときには、もう夜になっているし山小屋で買い物できる時間ではないため ここで夕食にしていくことにする。もう山小屋は宿泊者の夕食の準備に入っているためカップラーメンを買って食べる。 雨が降ってきたためレインウェアを着て荒川小屋を17時に出発。
後は赤石岳を越えるだけ!と思い気力を振り絞って出発したものの登りの力がすっかり弱ってしまい 小野くんからかなり遅れがちになる。スローペースでも足を止めないように前進し続ける。 弱っているためか登山地図で読み取れる以上にたくさん無名のピークを越えた気がする。 赤石岳(標高3120m)を越えたところで日没で暗くなった。 ヘッドライトを付けて今日のキャンプ地の百間堂へ下る。標高3000mをヘッドライトつけてトレランしているのは 普通ではあり得ない状況でありちょっとおかしい。小野くんが「これは変態を認めざるを得ない」と楽しんでいる。
コースロストしたか?と心配になるくらい下ってようやく百間洞に到着。時刻は20時を過ぎたところ。 今日の行動時間は14時間ほど。疲労具合を考えると明日がとても心配な感じ。 キャンプの準備をするがシェルターを立てられるポールがないためストックを使ってシェルターを タープのように屋根として設置してみた。冷たい空気の流れは感じて寒いが屋根を作っておくだけでも 多少は結露も防げるのではないか?小野くんはツェルトカバーを忘れて来てしまいエマージェンシーシートで寝る羽目に。 TJARの指定するビバーク体験はシュラフなどを使った完全な状態ではない状況でのキャンプを指すため 今回は2人ともシュラフは持ってきていない(当然寒い)。そこでシュラフカバーを頼るわけだが それすら忘れて来てしまっては大ピンチである。
作成してきた計画では午前3時出発にしていたが、疲れ具合と少し脚が痛かったことからそんなに早く動き出す気力がなかったので 目が覚めたら適当にくらいの感じにする。目安は6時と小野くんと話しをしたかもしれない(よく覚えていない)。 夜は2〜3時間おきに目が覚めて、そのたびに時計を見てがっかり。特に足先が寒いのとマットがないことによる背中からの冷えがきつい。 ときどき屋根のようにしているシェルターが「ばさっ」と落ちて来る。最初はシェルターをストックの先端に引っ掛け直していたが最後は諦めて 体の上にかけているだけ(笑)ビバークっていうか行き倒れ?(笑)
■本日の成績
行動時間 :11時間50分(標準比:56%)
標準タイム:21時間10分
休憩時間 :1時間40分
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