北アルプス山岳記録 2009/08/12(水)〜15(土)
【4日目】上高地〜三俣登山口
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4時半くらいに起床。外を見ると今日も天気は良さそう。周りのテントはまだ寝ているところがほとんどで静かだった。朝食を山菜そばで軽く済ませてテントを撤収。今日は夜用の服装に使っていたロングタイツとアンダーウェアの上に半そでTシャツを着る。4日目にして初めてトレイルランナーっぽい服装になった。水はハイドレーションに1リットルはあるはずだから大丈夫と水は汲まずに出発する。キャンプ場から明神までの林道は軽くジョギングで進む。途中ですれ違った人に「トレイルランですか?」と話しかけられた。やっぱりそれっぽい服装になったからか?でも今回は走ることが目的ではないので「まあ、そんなもんです、走っているのはここだけですけど」という微妙な返事をしてしまった。
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また少し走って行くと今度は後ろからトレイルランナーが走ってきて抜かしていった。やっぱり抜かされるのはちょっと悔しいかも(笑)明神から徳本峠に登って行く道に入る。ゆるい登りになるがせっかく走りだしたので走れるところまで走って行ってしまおうと登りも走る。しばらくすると体が温まったのでアンダーウェアは脱いで半そでTシャツ1枚になる。道は細い登山道に変わり沢沿いに登って行く。給水しようとすると水がなくなった!?ハイドレーションの水が終了してしまい焦る。幸い登山道の近くの沢に水が流れていたのでハイドレーションに水を入れる。汲みたての安曇野のおいしい水はキンキンに冷えていておいしかった。
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徳本峠のちょっと手前で霞沢岳への分岐があった。きちんとした標識が付いていたのでそれなりに行く人もいるんだろう。徳本峠に到着すると徳本峠小屋はお知らせの通り工事中。まだ朝7時なのにビニールシートの奥で何か作業している気配がする。ここに大滝山への登山道の分岐があるはずだが、分岐の標識もなくあるのは島々(松本電鉄の終点駅)に向かう登山道と、今通って来た上高地方面のみ。登山地図を見て「こっちに道があるはず」と登山道があるはずの尾根をのぞきこむと草刈りをした跡があるので入って行く。案内が付いていないようではもしかしたら登山道としてはもう整備していないのかなと思うが道の跡があれば少々荒れていても突破するしかないか・・・と思う。少し歩いて行くと向こうから作業着のおじさんが歩いてきたので「この道、蝶が岳まで行けますか?」と聞くと「行けるよ」ということだったのでほっとする。少し進むと草刈り機が置いてあった(笑)
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最初は歩きやすい土の道かつアップダウンも少なく快適なトレイルに見えたがときどき先日の雨でできたと思われるぬかるみがあってドロにシューズが埋まる。でも全体的にはやっぱりご機嫌なトレイル・・・のはずだった。この道は樹林帯の中を通っているがどこまでいっても単調な樹林帯でひたすら長い。まったく変わり映えのしない道でときどきドロにはまるのを黙々と続ける。大滝槍見台というところに木で造られた展望台があり、この展望台の上からのみ北アルプスが見えた。ここには登山者グループ(この辺の道の感じからすると登山者というよりハイカーかな)がいて展望台で休憩していた。展望台に上がって山を見ると見えている山すべてが今回自分が通って来た山ではないか!これは最後の蝶が岳に着いたときにぐるっと山を見渡すのが楽しみだ。きっと自分が今回通って来た山がぐるっと全部見えるに違いない。
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大滝槍見台から先もひたすら単調。どこまでこの調子なのかわからずだんだんバテてくる。いい加減大滝山に着いてくれと思い始めたころ大滝山方面から年配夫婦の登山者がやってきた。「まだ当分こんな感じですか?」と聞くと「もう少し、あと500mくらいで樹林帯を抜けるよ」とのこと。とてもありがたいと思ったが、代わりに自分が教えることができた情報は「この先ずっとこんな感じなのでがんばってください」としか言いようがなかった。後から「のんびりトレッキングしたら、ここから徳本峠まで4時間近くかかると思うけど徳本峠小屋は営業していないのにあの夫婦はどこまで行くんだろう」と思った。少しすると教えられたとおり樹林帯を抜けてきれいなお花畑状態に。でもその代りに急激な登りになり脚の筋肉が悲鳴を上げる。もうすっかり力を使いきってしまっていて少し登っては脚が止まる。戦意喪失状態で大滝山を登り切り次の蝶が岳に向かう。大滝山からの下りは走りやすそうな道だったがもう走ることはできず痛みを我慢しながらゆっくり進む。
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そして最後の蝶が岳の登りに入る。ここを登りきればあとは三俣登山口まで下りるだけ。これで最後と力を振り絞る。少し雲が出てきたがなんとか曇る前に蝶が岳山頂に着いて北アルプスを眺めたい。ペースはぼろぼろに遅くなったものの11時23分蝶が岳山頂に到着。登って来た登山者達が北アルプスの眺めを堪能している。その景色を自分もゆっくり見まわし4日分の成果を振り返った。すぐ隣には3日前の早朝に登ってきた常念岳が見える。その北側の山をずっとつないで槍ヶ岳。それから穂高から上高地まで見渡すことができ、きびしかった大キレットから北穂高の壁のような斜面も自分の通った稜線がはっきり見えている。見えている景色以上の素晴らしさを感じられた。
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蝶が岳ヒュッテでコーラを買って小休憩。気合を入れて蝶が岳から最後の下りに入る。岩場の下りは一歩一歩激痛が走る苦しいものになったが、もう最後のヴィクトリーロードなので痛みは我慢して可能な限りペースを上げる。最後の下りと言っても標準タイムで3時間10分、標高差1300mありかなり長い。一般登山者をどんどん抜かして13時32分に駐車場到着。やっと終わった・・・なんとも言えないやりきった感が・・・。車に荷物を放り込み靴下をそっと足からはがすとそこから痛みでまともに歩けなくなった。足の裏はマメと水膨れでぼろぼろだったが傷口は開いていないようだったので、そのまま温泉に行き足を引きずって温泉へ。帰宅途中に買い物に寄ってもそっとしか歩けないし。階段から降りるときはマメ、水膨れのないかかとで着地しなければならなかった。
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今回はテント泊で自給自足もだいたいできたし、いつか行きたいと思っていた山もまとめてやっつけることができたので目的は達成できた。今回あまり重視していなかった移動ペースについては次回以降できれば1日で標準タイムの16時間分くらいは安定して動きたいし、ここぞというところでは20時間分くらいは行動できるようになりたいと思った。現時点では12〜13時間分くらいがいいところだろう。もっともトレイルラン用の軽装備にすれば今回よりはそれなりに延びるだろうけど。(次はトレラン装備でタイムトライアルか?)装備についても今までは”贅沢品”だからと廉価版の装備を使っている部分については状況が厳しくなるとやっぱりいいものに買い替えたいという気持ちが大きくなった。
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■本日攻めた山
大滝山(2616m)
蝶が岳(2677m)
■総合成績
標準タイム合計:48時間45分
行動タイム合計:27時間43分(標準比57%)
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