北アルプス山岳記録 2009/08/12(水)〜15(土)
【3日目】南岳小屋〜上高地
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4時ごろ起きる。まわりもドタバタと準備を始めている。まず外の様子を見に行ってみると予報通り晴れていた。乾燥室に干した衣類を見に行くとまったく乾いていなかった(笑)さっと着替えて荷物をザックに詰め込み山小屋出発。外には日の出を見ようと集まった人たちが東のほうを見ている。ちょうど東側には2日前に登って来た常念岳が見えていた。北穂高方面の登山道を高台に少し上がったところで日の出を見てから大キレットへ突入。すぐのところから早速すごい下りが続く。昨日の悪天候で突っ込まなくてよかった〜と心の底から思った。
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今日は特に北穂高までの難所は時間は気にしないでゆっくり安全に進む。作戦通り登山道に他の登山者はまったく見えないので自分のペースで進むことができる。前方には北穂高岳が見えていて山頂には山小屋が見えている。直線距離にしたらけっこう近そうだが北穂高岳への登りは「どこを登って行くんだろう?」というくらい絶壁で降りてきた南岳のほうを見ても絶壁。どこを見ても人が通行できるとは思えないような風景がすごい。西側には今回は予定に入れていない笠が岳が雲の上に浮かんでいる。そのはるか西のほうにも雲の上に少しだけ山頂が見えている山があったがどこの山なのかはわからず。岐阜県のスキー場がいくつかある山かなあ。
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中間よりは北穂高に近くなったかなと思われる長谷川ピークを過ぎると北穂高岳への壁のような斜面を登り始める。北穂高岳の西側は滝谷の岩壁がそびえていてすごい景色。滝谷はクライミングの話とかで聞いたことあるような?クライマーはあの壁を登るんだろうか。北穂高岳に向かってハシゴや鎖をどんどん登って行くと北穂高から南岳を目指す登山者とすれ違うようになってくる。それでも渋滞するほどではなく人が増えてきたなと思ったらもう北穂高の山頂がすぐ近くに見えるようになっていた。北穂高から降りてきた人に「飛騨泣きはきつかったですか?」と聞かれたので「きつかったけど下りのほうがもっと厳しいと思います」と答える。北穂高側のほうが”より”急斜面なので、南岳から北穂高に向かうよりも逆のほうが危険を感じるところは多いかもしれない。
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北穂高岳山頂に到着すると奥穂高岳や前穂高岳も近くに見えるようになり涸沢カールも見える。最も厳しそうなところを越えてひとまず安心。写真を撮ったり景色を楽しむ。南側には奥穂高・前穂高、東側は出発地の常念岳、北側は槍が岳やそのさらに向こうに判別できないけど北アルプス裏銀座縦走コースの山が見えて、西側には笠が岳。すべての方向がすばらしい景色だった。後立山も見えていたのかなー。山小屋の屋根の上でひたすらスクワットと腕立てをしている人がいた。ここで朝食にするつもりだったが、行動食のチョコホイップのおかげかお腹は空いていないので、地図に書いてある北穂高岳と涸沢岳の間の難所も越えてしまうことにする。とにかく登山者が増える前に渋滞しそうなところは1つでも先に進んでおきたい。
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涸沢岳の手前の危険箇所は大キレットを越えてきたあとだからか何とも思わずにすんなり通過してしまった。涸沢岳の山頂で写真を撮っていると南岳山荘でお隣さんだったトレイルランナーがやってきた。山荘の朝食を食べて少なくとも自分より30分は遅く出発しているはずなので「なかなかやりますなー」って感じ。でも自分は北穂高でかなりのんびりしていたからもしかしたら移動速度自体はそれほど差はないのかも。涸沢岳から少し下ると穂高岳山荘に到着。あとは危険箇所もないし奥穂高を越えたら上高地に向かって下るので、ささやかなお祝いに山荘でコーラを買う。お湯を沸かしてカレーうどんを作って朝食。
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食事をしている間にずいぶん登山者が増えてこれから登る奥穂高岳への登山道は人がいっぱいになっていた。
9時29分に穂高岳山荘を出発。さっそく他の登山者の後ろに・・・。それでも渋滞というほどにはならず後ろにつくとすぐに道を譲ってくれたり、登山道が少し広くなったところで「すみません、先行きます」と声を掛けて抜かさせてもらったりしたので、いいリズムで登ることができた。奥穂高岳の山頂からは上高地が見え、遠くには乗鞍や御岳も見えています。目的地の上高地が見えたことでようやく今回の山計画が成功(完走)できそうな実感がわいてきます。奥穂高岳で登山道は分岐し前穂高岳と西穂高方面に分かれるが西穂高のほうは難易度が高く一般的なルートではなさそうだ。また西穂高方面にはジャンダルムというピークがありそこの上に4〜5人立ってこちらに向かって?何か叫んでいた(笑)それに気がついた奥穂高の山頂にいる人が「おーい!!」と叫び返していた。
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あとは下り!というイメージを持ちつつ前穂高岳方面に下り始めるが、また軽いアップダウンがあったり前穂高岳の山頂は見上げる高さにあったりと最後まで楽させてくれないなーという感じ。前穂高岳の山頂に向かう登山道は同じ道を行って帰ってくるようになるので山頂への分岐のところに荷物を置いて空身で山頂まで往復。山頂には雲がかかっていたので景色を見るわけでもなく山頂の写真を撮ってすぐに下山。こんどこそ上高地まで下るだけと登山道を下り始める。少し距離はありそうだったが上高地はもう見えているので、がんばればすぐに着くだろうくらいの感じでペースを上げて下りて行くがいくら下っても下界につかない。
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だんだん足が痛くなってきてマメや水膨れが足の裏にできてくるのがわかる。急な斜面をひたすら下って天狗沢との分岐の岳沢を通過。これで下りの斜度も緩くなり、あとは沢沿いの道をしばらく走れば到着するだろうという気分になるが、ここからも果てしなく長い。足の裏が痛くて走りやすい場所でも走ることはできず早歩きで進み続ける。あまりにも到着しないので上高地と違う方向に向かってしまって別の山に登って行ってしまうのではないかと思った。すぐに到着すると思っていたので特に何か食べるわけでもなく突き進んでいたのだがそろそろ補給しないとハンガーノックになりそうと思い始めたところでようやく13時30分に上高地到着。
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とりあえずはじめての上高地なので中心部に行ってみようと河童橋を目指す。歩きやすい道で痛む足には優しかったが今度は歩行者が多くて参った。河童橋もすごい人だかり。確かに人気の観光地だけに景色はよかったが、みんなが喜んで見ている風景の向こう側からやってきたので、その景色を見ても何とも思わず。証拠写真として河童橋の写真だけ撮って今日の行動は終了。自動販売機のジュースが下界の値段であることがうれしくなりファンタグレープを飲む。好きなだけ(ジュースを)飲みたい気分だったが一応自給自足の旅の途中なのでソフトクリームを食べて締める。その他にも「カツカレー食べたい」とかやたらと誘惑が多いので河童橋周辺からはさっさと立ち去ってキャンプ場に向かう。キャンプ場は河童橋から500mくらいとけっこう近くにあった。
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テントサイトの受付を済ませて場所は特に指定されなかったので梓川のそばで穂高の山が良く見える場所にテントを設営。さっそく荷物を地面に広げてシュラフを最優先に湿った装備を乾かす。川でシャツを洗ったり、痛む足を川に入れてアイシングしたりする。川の水はとても冷たくて気持ちよかったが冷たすぎて数分と我慢できなかった。
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少し遅い昼食にお雑煮を作り、しばらくしてから夕飯も自炊し、キャンプ場の中にも自販機や喫茶店、お風呂まであったがどうにか文明に頼らずに生活する。といっても自炊に使っているフリーズドライ食品なんてかなりの文化レベルだが。夕食のアルファ米はなぜか食欲がわかず少し残してしまった。その一方で夜少し空腹感があったので食べやすくするための工夫をしていく必要がありそうだった。今日の宿泊はテント泊とはいえ水は川で汲んで豊富に使えるし気候もちょうどいいしで前日、前々日に比べると精神的に休まる日になった。しかし今日の前穂高岳からの激下りで脚が痛くなっている。これはマメや水膨れのケガ的なものと筋肉痛の内部的なものと両方とも。明日はいよいよ北アルプス(槍穂高中心)一周のフィニッシュへ。
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明日のルートは上高地〜徳本峠〜蝶が岳〜三俣登山口。徳本峠から蝶が岳は登山地図に道が載っているもののあまりそこを通るという人の話は聞かないマイナールートである。普通に話に聞くのは上高地から梓川沿いに徳沢まで行きそこから直接蝶が岳に登るルート。それでもこのマイナールートを通ることで地図上に山の稜線をたどってきれいなループになるためこのコースを選んだ。1つルートを選んだときの思惑と異なっているのは徳本峠小屋が改築のために今年は営業していないこと。できれば徳本峠の西側にある霞沢岳(これもマイナーな山)を往復しようと思っていたのだが徳本峠小屋が営業していないことで、上高地から霞沢岳に寄り道して行くとかなり長時間にわたり無補給になり、もしも途中で行動を中断したくなっても行くしかなくなってしまう。もしくは上高地側に降りるしかなくなってしまう。このような事情と脚の状態を考え霞沢岳はあきらめることにした。
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また今回の行程で1日目は標準タイムの14時間45分相当、3日目は12時間55分相当行動しているので、
安全に行動できる上限は15時間程度と想定。徳本峠から霞沢岳の往復は標準タイムで7時間相当にもなり
予定通りだと20時間15分相当になる。これは最後の蝶が岳まで行ってしまえば時間が遅くなって雷が発生してもあとは下りるだけなので気合でなんとかなるというプランなのだが・・・すでに1歩ごとに足が痛い状態では明日中に下山できなくなる可能性も十分にある。霞沢岳をキャンセルすることで13時間15分相当の行動をすればいいことになりこれなら大丈夫と思う。
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■本日攻めた山
北穂高岳(3106m)
涸沢岳(3103m)
奥穂高岳(3190m)
前穂高岳(3090m)
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