Swiss Peaks 360
出発前夜
ようやくすべての食料の購入が済み、すぐにでもレースに入れるように荷物を整理してスーツケースにパッキングした。 準備しはじめのときは、以前に超長距離山岳レース(トルデジアン)でエイドが素晴らしいとよく聞いていた気がするのと、Swiss Peaksも1日4回はエイドがあるので、 もしかしてエイドでしっかり食べれば自前の行動食はそんなに用意しなくてもいいのでは?と思い気楽な感じでいた。 しかし直前になり同じレースに出る方々に聞いたところそういうものではないらしく、基本的にはあてにしないで全て自分の食料でやれる前提にしているらしい。 そのため直前になって真面目に行動食を考えることになって荷物が膨れ上がり、けっきょく砂漠や極地の1週間のレースと変わらない荷物量になった。 大型ザック1つで行こうと思っていたが、妻の大型スーツケースを借りて対応。(自分の大型スーツケースは前回の遠征で壊れてしまってその後買っていない)
レース出発前の1週間くらいは、のんびりと過ごして特に睡眠はたっぷり取ろうと思っていたが、けっきょくいくら時間があっても足りずに出発前日になってしまった。 まだ仕事のことで出発前にすっきりしたいことはあるし、持っていく予備PCでいざというときに最低限の仕事はできるようにVPNソフトを入れるとか、必要なアプリケーションを入れておくとかしたいところ。 ただもう時間がない。最低限8月分の請求書を客先に送ればそれでよしとするしかない(笑)
毎回のことだが、出発前夜は落ち着かない。気が重くなる程度に心に負荷がかからないとチャレンジとは言えないと思い、なるべく背伸びをしてやることを選んでいるのであたりまえなのだが。 これが完全にリラックスして「楽しみ・わくわく」しかなかったとしたら、おそらく終わった後で物足りないと感じるだろう。 思い返してみればネパールトレッキングがその状態に近かった。それなりにハードではあったものの日本語のできるガイドさんがお世話してくれていたので本当に楽だった。 そのとき自分は「言われた通りに連れて行ってもらっただけ」という感想を残している。
過去の出発で一番不安だったのは、やはり初めての1人出国だった南極だろう。南極の特別感でかなり打ち消せていたとは思うが、あまりの行程の長さにほんとうに気が重かった。 そのころに比べれば予定もふんわりとしか決めていないし(まだスイス到着初日にどの街に泊まるか決めていない)心のどこかでなんとかなるさと思っているので、やっぱり成長しているのだと思う。 いままでの旅で、毎回テーマを決めて新しい行動を取った積み重ねと、英会話教室に通ってよく使う言葉はわりと思い浮かぶようになった・・・気がするのも大きい。 これを旅慣れてきたというのだろうか。客観的に見れば成長しているのだが、じつは小心者なので怖い。
今回の目標
「完走したい」ただ一点。もう以前と違って自分の力ならこのくらいの順位は取りたいとか、そういう気持ちはまったく出てこない。
もう長らくトレーニングもベストパフォーマンスを出すためのトレーニングではなく「必要なときに必要最低限の体力を用意して何もないのに必要以上の負荷は体にかけない」という方針。
ただ人生も折り返しをとっくに過ぎて年々体がダウングレードされていくので、気持ちが充実していなくても今しかできないことがある、
と考えて超長距離山岳レースはこれがラストチャンスとSwiss Peaksにエントリーした。なので完走できてもできなくても次はないと思う。
もちろん50代でも60代でもハードなチャレンジを続けている人もいるしできなくはないだろうが、自分はそんなに超人ではないしそうしたいと思えるかも微妙なところ。
なので、これで最後、これからの人生をどう生きるか考えながら歩きたいと思っている。(だが北極レースはもう一度行きたいw)
まだバリバリがんばっている先輩方、もう終わりにしようと一線を退かれた先輩方と語り合ってみたい気もする(笑)
体力的な仕上がり
歳相応によい状態を作れているとは思うのだが自分で自分を正しく評価できない。 どうしてもよかったときの感覚と比べて「調子が上がらない」という評価になってしまう。 50歳チャレンジのフルマラソンエイジシュートで目標に届かなかったものの2時間52分台だったので、その体力をベースにうまく今回につなげられればよかったが、 左脚付け根の不調(坐骨神経痛?)のため長い距離を走れなくなってしまい春から初夏にかけては細切れ練習とトレッキングのみ。 安心して走れるようになったのが7月になってからとすっかり出遅れてしまった。 ただし7月中旬から8月中旬(調整期間に入るまで)の1か月は毎週登山に行って走行距離が伸びにくい状態にもかかわらず398km走ることができ、 それだけの練習量をこなせるということは不調の間の過ごし方もそんなに悪くなかったのだと思う。 あとは体の強さだけでは他の人に劣るので、今までの経験・引き出しの多さを信じて落ち着いてあきらめずに進んでいきたい。 走力頼りでがんがん行くのではないレースの楽しみ方を新たに知ることができたら、またやりたいことも出てくるのかなとも思う。