Swiss Peaks 360
レース総括
今回もリタイアということで長距離山岳レースはPTL 2017, 2018, Swiss Peaksと3戦続けて失敗で、公式には長距離山岳レースに関して私は何も実績も残せなかった。海外レースだとYukon Arctic Ultraも2回リタイアしていて私の海外レースのリタイア率は5割に近い。競技という意味ではもちろん結果は何も残らず、ある種の無意味ではあるのだが、2回目のYukon Arctic Ultraも280km, Carmacksがフィニッシュだったら完走だし、Swiss Peaksも287km, LB5がフィニッシュだったら完走している(GPSでは300kmを超えている)。競技という他人が決めたルール内だから問題になるだけであって、どちらもほんの2~3時間睡眠を取るだけでまだまだ続けることはできただろう。もちろんルールを受け入れて参加させてもらっているので何の文句もない。
今回のレースでは自分は長距離山岳レースに必要とされる能力は低いという前提で臨んだ。実際にも坐骨神経痛?で長く走れない問題があり安心して練習できたのは本番の1カ月半前からなのだが、ただその影響はほぼないというくらいしっかり練習できたと思う。坐骨神経痛?の間の過ごし方(走れない分、トレッキングでたくさん歩いた)もよかった。筋力・持久力は問題なしという前提で、残りは自分にとっての不確定要素、内臓の弱さ、標高の影響(気圧か酸素濃度か)がどう出るかという点。Swiss Peaksはアップダウンは激しいものの一気に上がって峠を超えたら一気に下がるので標高の高いところにとどまる時間が少なく、実は私にとっては都合がよい可能性が高い。それでも場所によっては主催者が想定する遅いランナーよりも時間がかかっていたのは事実で何かしらの問題があったと考えている。
問題点
(1)内臓の弱さ
長年の経験から完全解決は不可能。ただ一度気持ち悪さから復活すると同一レース内で同じ症状は出ないため、一度の大きな落ち込みを競技時間内に乗り越えられれば問題なし。今回は1日目の夜から2日目の昼にかけてがその状態。関門時間にかからずリカバリーできたので、今回のリタイアの直接原因ではない。
(2)気圧・酸素濃度
高山病の症状はなし、単独行では自覚できないが他の人と山を歩くと高地(標高2500m以上)で顕著なペースダウンがある(おいて行かれる)緯度の高いスイスではもっと標高の低いところからその症状が出ているはず。解決策として考えられるのは筋力のパワーアップ。単純に能力が落ちても完走水準以上のペースが出ればよい。
フィジカルに関しては(2)の対策を取れればよいことになるが、トレーニングの根本的な見直しと毎週末登山に行くなどライフスタイルを変える必要がある。ここで問題になるのは限りあるリソース(時間やお金)を弱点を改善するためにつぎ込めるのか(つぎ込みたいと思えるのか)ということ。トレーニングとして正しいか以前に生き方をどうするかになってしまう。
ここは自分の中で答えは出ていて「それはできない(やりたくない)」ので、今回完走できてもできなくてもレースはこれで終わりにして今後どんなことをしたいのかSwiss Peaksを歩き倒しながら考えるというのがテーマであった。もちろんSwiss Peaksに出場するにあたってできる範囲の対策はしたし一定の成果は出たと思っている(実際に毎週登山に行っていた)。
あと1点あるとすればLB5の手前のエイドCOL DE LA FORCLAZで完走を確信してしまったこと。主催者見積り通りに歩ければLB5で睡眠を取れることは確実で、そこである程度休めれば、その後は山の標高が低くなって行き、大きな登り下りがなくなって行くのでペースアップも見込めると判断していた。ここまでも程度の違いはあってもコースの変更はたびたびあったので油断するべきではなかった。
良かったこと
全体として危うい場面も多く時間に余裕はなかったがおおむね自分をコントロールし続けられた。 PTL 2017から続く超長距離山岳の一連のレースで自分の弱みを把握しある程度は対処する方法もつかむことができた。たとえば今後、自分で数百kmのトレッキングをしたいと思った場合は、弱みが出ないような行動計画をすればよいだけで、レースという極端な場で経験を詰めたことは逆に強みにもなると考えている。一般的にはレースのほうが特殊ケースなので、そこでのみ出てくる弱点はレースで活躍したいのでなければ無視できるものも多い。