サハラ・レース
2009/10/27(火)
Stage3 The Roman Ruin(42.5km、5:28’47、5 位)
Stage2 Marathon el Qarawinへ Stage4 Route of the Nomadsへ
食欲が戻った。サンマの缶詰(特別メニューとして1 こだけ持参)を食べる。アルファ米も1 食分の完食。今回のレースではレース中の水の搭載量は1 リットルとしていたが昨日のような緊急事態になるといけないので今日からザックの中に500ml ほど予備の水を持っておくことにする。大会側から支給される水の容器(1.5 リットルのペットボトル)を小さくつぶして水を入れる。また今日からスポーツドリンクは使わずに水とソルトタブレットで給水することにした。モロッコのときと同じパターンだ。
今日のコースはキャンプサイトの目の前から砂丘の尾根に登る。砂丘の上にコースのフラッグが立っているのが見える。藤岡さんが切り立った砂丘の尾根を見て「最初だけは前に出ないと渋滞するかもしれませんね」と言う。
スタート直後2 番手で砂丘の登りに入る。確かに砂丘の尾根は切り立っていて追い越しは不可能。走りながら写真を撮ったら少しバランスを崩して砂丘から滑り落ちそうになった。そのまま砂丘を2 番手で抜けだし4 人の集団になる。後ろを見るとすでに大きく距離が空いてしまっていた。体の動きもいいしこの調子で行ってしまおう。昨日リタイアしたときは「完走や順位が関係なくなったら走る気力が出るだろうか」と思っていたのだが楽しくて仕方がない。CP1 までは若干登りのきれいな砂地。景色がとてもよく「走ってよかったー!」と思った。
CP1に4 位で到着。後ろを見るとパオロが5 位で入ってきた。CP では昨日のこともあるので急がずしっかり水を飲む。CP1 を出るとパオロと一緒になる。「パオロ!」と声をかけると「ブラボー!」と復帰を喜んでくれ手をつなぐ。パオロがじわじわと前に出て行くが無理して追わない。今日はみんなに言われたとおり自重して無理をしてはいけない日。
CP2 に5 位で到着。近藤さんが「5 位だよ!5 位!速すぎるよ」と迎えてくれる。「何やってるの!?」って感じだ(笑)5 位とはいえ今日はやっぱり攻める走りではないので腰をおろしてしっかり水を飲みドライフルーツを食べる。それから近藤さんと写真を撮る。ドクターに「胃の調子はよくなった?」と聞かれる。その間に1 人に抜かされて6 位でCP2 を出発。
CP3 へは1 人旅。この区間は少し距離が短いもののやわらかい砂地があり歩きも入る。CP3 は小さなオアシスのようなところでCP のテントの脇には木が生えている丘があり水の流れる音 が聞こえる。砂漠の真ん中で不自然で人工的な感じも受けるがこんなところにわざわざ人工的にこんなもの作らないか・・・と思う。CP3 でもスタッフに「胃の調子は大丈夫?」と聞かれた。
最後の区間ゴールに向かう途中でバテて歩いている選手を1 人抜かして5 位に戻る。はるか彼方にキャンプサイトらしいものが見え始めてから歩き始める。後ろを見てもまったく後ろの選手が見えないので見えてきたら走って逃げればいいかと思い歩いてゴールを目指す。もう総合成績には関係ないのでタイムを縮めるためにがんばる必要はなく、なるべく体の負担を抑える方向にしたほうがいい。
今日もとても暑く日の当たる側につけているペットボトルの水は完全にお湯になっている。レースはファラフラオアシス付近からバフレイヤオアシス付近へ北上するコースなので日中は右手(東側)から強い日差しを受けることが多い。そのためザックの右側につけたペットボトルの水がお湯になるのである。はっきりゴールを認識できるようになったころ後ろの選手も見えてきた。向こうがずっと走って、自分がずっと歩いたら抜かされると判断して少し走りつつゴールへ。
ゴールすると「Congratulations!」と迎えられる。スタッフに「4 位だ!」と言われて驚く。1 人どこに消えた?(スタッフのミスで5 位だった)テントに戻り上位選手に対しておこなわれる装備チェックを受ける。これは速く走るために必須装備を持たなかったりといった不正を防ぐためのものだ。「昨日リタイアしたんだけど」と自分は総合成績対象外であり装備チェックする意味がないかもと伝えたかったのだが普通に装備チェックはおこなわれた。
装備チェックが終わると先にゴールしていた上位の選手がわざわざテントに来てくれ「おめでとう!」と握手してくれる。すごい人に認められた気がしてリタイアした残念な気分など吹っ飛んで幸せな気持ちになれた。走ってよかった。充実感いっぱいで湿らせたバンダナを顔に乗せて寝ていると後からゴールした同じテントのメンバーが「彼、今日5 位だって」「すげー!」みたいな会話をしている(英語はきちんとわからないがそんな感じ)。バンダナの下でにやける(笑)かなりうれしい。
今日も猛烈に暑いのでビニール袋に水を入れて、シャツを浸して湿らせ体にかけて寝転がる。ひんやりして気持ちがいい。しかし水の消費量は多くなる。よく考えてみると猛暑の昼ちょっと過ぎにゴールしてから翌日の最初のCP までの間4.5 リットルの水で過ごすというのは大変なことだ。レースに参加している平均的な競技者は日が傾き始めたころにゴールして、それから4.5 リットルで過ごしているのである。速い競技者はレース中はおそらく1 区間で1.5 リットルの水を使いきれないので、そもそも1 日で受け取る水の量が他の競技者よりも少ないのである。
少し日差しが柔らかくなってからお湯をもらってスープを飲んでいると、やはり上位の選手に「おめでとう!」と声をかけられる。何やら言われて藤岡さんが「昨日があんな日だったからとてもうれしいって」と通訳してくれた。でも、なんで自分がリタイアしたの知っているんだろう?
20 時ごろのんびり夕食にして21 時就寝。睡眠時間だけは十分で夜中もちょこちょこ目が覚めるのでそのたびに水を飲むように心がける。水がとてもおいしく感じられて寝ているだけでもけっこう水分が失われている感じがする。レース1 日目の夜は水を飲んでいなかったので、もしかしたらスタート時点ですでに脱水症状だったのかもしれないと思った。
今日はスポーツドリンクをやめて代わりにソルトタブレット(アスリートソルト)を各チェックポイントで4〜 6 粒飲むようにしたところ最後まで調子がよかった。アスリートソルトは完全に塩の塊なソルトタブレットに比べて塩が少ないので少し多めに飲む必要がある。モロッコでもスポーツドリンクを使って2 日目までは調子が悪く水とソルトタブレットにした3 日目から調子が良くなったし、今回も同じパターンなので今後は砂漠レースではスポーツドリンクは使わずに水とソルトタブレットを使おうと思う。自分にはそのほうが合っているに違いない。
Stage2 Marathon el Qarawinへ Stage4 Route of the Nomadsへ

[戻る]