出発
日本を出発し、ドーハ経由でスイスへ向かう長い移動。まだレースの実感は薄く、どこか現実感のないまま、遠征だけが静かに始まっていく。
Swiss Peaks 360 Report
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出発前の準備から、レース本編、そしてリタイア後の旅まで。遠征の各日の記録を、旧サイトのレポートへつなぐ形でまとめています。
移動、準備、下見。レースの前にある静かな時間。
日本を出発し、ドーハ経由でスイスへ向かう長い移動。まだレースの実感は薄く、どこか現実感のないまま、遠征だけが静かに始まっていく。
拠点となるオーバーヴァルトに到着。装備確認やガス缶探し、コースの下見を進めながら、徐々に「走る側の思考」へと切り替わっていく。
高所の峠を歩き、アルプスの大きさと静けさを身体で知る。風景の中にいる実感と同時に、これから挑む距離への緊張がじわりと迫ってくる。
スタートからリタイアまで。長い時間の中で少しずつ削られていく本編。
オーバーヴァルトをスタート。多くのランナーとともに最初の山へ入り、まだ余裕のある状態で進む。長い旅の始まりに、高揚と静かな不安が混ざり合う。
暑さと疲労で体調が揺らぎ、一度は崩れかける。それでも補給と休息で立て直し、「どう進むか」を考えながら自分のリズムを作り始める。
順調に見えた流れは、コース変更と長い迂回で崩れていく。削られていく時間の中で余裕は消え、ぎりぎりの判断で前へ進み続ける一日。
このままでは終われないという意識が強まり、ペースを引き上げる。仮眠を挟みながら、失いかけた余裕を取り戻そうと踏み続ける。
雨と雷の中、眠気と疲労は限界に近づく。幻覚が現れ、現実の輪郭が揺らぐ。それでも止まらず進み続け、深夜のLB5へたどり着く。
暗闇の中でルートを見失い、身体も判断も限界に達する。続けるか終えるかの選択の末、大会車両にピックアップされ、長いレースは幕を閉じる。
競技の時間が終わったあとに続く、風景と余韻の時間。
レースを離れ、静かな時間の中で身体と気持ちを整える。仲間のフィニッシュを待ちながら、今回の経験を少しずつ受け止めていく。
レースが終わり、張り詰めていた時間がほどけていく。走らなかった時間も含めて、この遠征全体を静かに振り返る一日。
表彰式を見届けたあと、ツェルマットへ移動。競技の空気から離れ、旅としてアルプスと向き合う時間が始まる。
静かな山を歩きながら、撮影のための視点で風景を見る。走るためではなく、感じるために歩く時間へと変わっていく。
夜明けの山、氷河、星空。強烈な景色と向き合う中で、この遠征の意味が少しずつ輪郭を持ち始める。
ツェルマットを離れ、湖畔の街へ。旅の終わりが近づくにつれ、日々の出来事が静かに記憶へと変わっていく。
シヨン城を訪れたあと、ジュネーブから帰国。長く続いた非日常が終わり、現実の生活へと戻っていく。
日ごとの記録とは別に、旅を終えてから見えてきたことをまとめています。
長距離山岳レースで結果は残せなかったが、実力や限界は明確に把握できた。 内臓の弱さや高地でのパフォーマンス低下といった課題はあるものの、対策にはライフスタイルの大きな変更が必要。 しかしそれは望まず、レース継続よりも今後の生き方を考えることを選択。 極限環境で得た経験は、今後の挑戦に活かせる強みとして残った。
超長距離レースには一区切りをつけ、今後は再挑戦ではなく新しい形を選ぶと決断。 レース参加の動機を整理した結果、景色・環境・旅そのものが本質であり、競技である必要は薄れていた。 リタイアによる強制終了のリスクよりも、自分の責任で自由に旅を続ける方向へ。 これまでの経験を土台に、より主体的で長期的な旅へとシフトしていく可能性を見据えている。