北アルプス山岳記録
2009/08/12(水)〜15(土)
【1日目】三俣登山口〜ヒュッテ西岳
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■行動の前提
自給自足でおこなう。可能な限りテント泊&自炊。 スケジュールは理想的なペース(標準タイムの50%で1日あたり8時間前後の行動)で立てているが 現在の体調(駅伝と合宿の疲労)と自給自足のための装備の重装備化を考えるとけっこうきびしい。 そのため理想ペースでの日程は2泊3日となったが、予備日を2日とり3泊4日は予定のうちと割り切る。 スピードよりも山岳スキルの獲得(自給自足での滞在)を優先させる。 装備は全部で10kg程度になった(テント泊としては画期的な軽さだが)。 またキャンプ地への到着は雷を避けるために12時〜13時ごろの到着とする。
いよいよ出発のときが来てしまった。なぜ「いよいよ」と身構えるかというと初日は少し無理をして槍ヶ岳に到達したいために夜中出発にしたため。午前0時に起床し食事をして荷物をまとめ車で常念岳に登る登山口へ向かう。夜間に登る同志はいないかと思いつつ2時過ぎに三俣の駐車場へ到着するが、しーんと静まりかえっていてどうやら同志はいない模様。このまま朝まで車で待機してから登ればいいんじゃないかとも思うが、意を決して車から降りザックを背負って車のカギをかける。2時25分、小さなヘッドライトの光を頼りに登山道へ足を踏み入れるが小さなヘッドライトだとほんとうに足元と数メートル先くらいまでしか見えない。もうなるようになれと登山口の小屋を通り過ぎ鬱蒼とした森林に足を踏み入れる。
この登山道は数年前に一度登っているのでだいたいの雰囲気は分かっているつもりだが視界がわずかなため気を付けていないと登山道から外れそうになる。怖さを我慢しながらなのでペースは上がらない。とりあえず夜明けまでは我慢とペースは気にしないことにする。日の出の時刻は5時ちょっと過ぎなので、4時半くらいには明るくなってくるはずと思い時計を見る回数が多くなるが時間の進みが異様に遅く感じる。幸い月が下弦の半月なのでこの時間は真上から光が来るため木がシルエットになって浮かび上がり尾根と沢は見分けることができる。
3時半ごろ下のほうでチカッと小さな光が見えた気がしたが「気のせい」だと気にしないでいたらしばらくしてはっきり見えるようになった。誰か登って来るのか?と心強く思うが時間がたつにつれ近づいてきている。普通の登山者に抜かされるのはなんか嫌なので追いつかれないように少しペースを上げる。しかしそれでも少しずつ近づいてくるではないか!明らかに普通の登山者じゃない!トレイルランナーか?アドベンチャーレーサーか?と思いつついよいよ追いつかれた。道を譲るために脇に避けると暗闇から現れたのは女性トレイルランナー。「おはようございます」とあいさつを交わし先に行ってもらうが「この人ってトレラン女王の”あの人”では?」と思う。少し間隔を空けて付いて行くが、森林を抜けて前常念岳の岩場に出ると一気に差を広げられてしまった。森林を抜けたのと日の出が近づいて空が明るくなってきたのが重なったので視界が良くなってペースを上げる条件が整ったのだろう。でもおかげであっという間に夜明けを迎えることができた(笑)前常念岳で日の出の写真を撮ってマイペースで進む。トレイルランナーの姿はもうまったく見えなくなった。
常念小屋に6時7分に到着。目標タイムを上回るいいペース。序盤のスローペースを覆しての結果だからトレイルランナーとの遭遇がいい刺激になったのは間違いない。常念小屋で10分ほど休憩しグミを食べて稜線を北上する。今日はとても天気がよく槍ヶ岳や穂高の北アルプス以外の中央アルプスや富士山までよく見えていてとても気持ちがいい。しばらくすると日差しが非常に強く水はしっかり飲んでいるつもりなのにふらふらしてくる。槍ヶ岳に向かう稜線に方角を変える大天井岳に8時21分到着。まだなんとか目標タイムのペースで来ている。大天井岳の山頂でもトレイルランナーに出会った。燕岳に上がってきて上高地まで走ると言う。大天井岳の山頂から下ると南へ向かって颯爽と走って行った。さすが北アルプスに走りに来るだけあって速そう。
ここから西へ方角を変えて槍ヶ岳へ向かう。やっぱりちょっとふらふらするのと水を飲んでも吸収していない感じがあるので途中の景色のよいところでザックを下ろし休憩。岩塩を飲み、お湯を沸かして味噌汁を飲む。このあとはペースのことなどもう気にせず進むが今度はだんだん眠くなってきた。ときどきふらっと来つつヒュッテ西岳に10時53分到着。ふらふら感が眠いだけなのか脱水症状を起こしているのかよくわからないので山小屋で山菜うどんを購入。さっそく自給自足の道から外れるが若干緊急事態だし、うどんレベルなら自分でも用意できるものだからよし!という基準でOKとする(笑)うどんを食べながら槍ヶ岳を見ていると曇ってきて槍ヶ岳はすっかり雲の中。
さらに槍ヶ岳のほうから吹いてくる風に小雨が混じるようになった。槍ヶ岳までは標準タイムで4時間なので、多少ふらっと来ている状態でも3時間あればなんとか行けるだろうとは思うものの、うどんを食べて時間をロスしているので3時間かかると雷が危険な時間帯に入ってきてしまう。ヒュッテ西岳のテント場を見ると見晴らしが良く「ここでテント張ったら楽しそうだな」と思えたので、本日はここまでとしてテントを張って休むことにする。時間もあって暇なのでおやつ代わりに山小屋でCCレモン(ペットボトル)を500円で購入。
テント場は尾根の上で木はほとんど生えていない。見晴らしはいいが雷が来たらここに落ちるんじゃないか?とも思う。しかし山小屋が指定した場所なので大丈夫なのだろう。それでも雷と風は心配なのでテント場の中でも一段低いところにある影になったところにテントを張る。テントに入ってしばらく昼寝。一眠りしてテントから出ると今日の宿泊者達がだいぶ到着していてテントもたくさん張られていたがやっぱり一段低い場所から埋まって行って遅く来た人は尾根の上にテントを張っている感じだった。一眠りしたらすっきりしてもう一度行動できそうなくらいになっていた。槍ヶ岳を見ると相変わらず雲の中だが雷が発生している様子はない。やっぱり行くべきだったかなーとも思ったがもう遅いので周辺をぶらぶら見て回ったりしてのんびり過ごす。
夕食(ここはきちんと自炊)を終えてからテントの中で明日どこまで行くか考えていると周りのテントで作戦を練っている声も聞こえてくる。地図を見ながら聞き耳を立てているとやっぱり明日は天候が荒れるらしい。天気が荒れる前提の準備をしておく必要がありそうだった。夜はときどき眼を覚ましながらうとうと・・・。夜中に雨風が強くなって簡易テント(ツェルト)の自分はテントが崩壊するんじゃないかとひやひやするが段差の下に設営できたのがよかったのかなんとか持ちこたえている感じ。しかし通気口から雨が入り込みだんだんシュラフが湿ってくる。けちってシュラフカバーを買わずにいたのを後悔する。何度か目を覚ましながらもトータルではかなりしっかり眠れたと思う。
■本日攻めた山
前常念岳(2661m)
常念岳(2857m)
横通岳(2767m)
東天井岳(2814m)
大天井岳(2921m)
赤岩岳(2768m)
西岳(2758m)
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