おんたけスカイレース
スカイランナーワールドシリーズ第4戦
2006/06/25(日)
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今回、開催された第1回おんたけスカイレースはスカイランナーの ワールドシリーズ第4戦に指定されている。そのためワールドシリーズを転戦している 海外からの招待選手も来ているし、前日受付でもらったスタートリストを見ると、国内の有力な 山岳ランナーがずらっと並んでいる。参加者数はエントリーリストでは男子216人、女子17人。 出場基準などは特にないので初めての全力でチャレンジする山岳レースとしてエントリーした。 山岳レースは今までにも出たことはあるがカメラ片手に楽しくという参加しかしていない。 今回はレースとして真面目にやるということでデジカメは置いていこうと思っていたが、 やっぱり山に登ったら写真を撮りたくなるだろうと、いつも以上に素早く写真を 撮れるようにカメラの装着位置を考えてカメラを持っていくことにした。 コースは全長23.4kmで標準タイムは15時間45分とのこと。 (当初は約32kmのコースだったが残雪が多いために短縮された)
朝5時過ぎにおんたけスキー場の駐車場に到着し車を停める。今日は自宅で全て荷物をまとめてから 来たので、現地での準備はほとんどない。いつもこうありたいものだ。レースで背負うランニングザックと スタート前に大会運営側に預ける荷物を入れるビニール袋を持って、スタート地点への搬送バスに乗る。 5時半にはスタート地点である大又山荘に到着。昨日の受付でもらったスタートリストにさとよし氏の 名前があったので探すがまだ到着していないようだ。しばらくしたらまた選手を乗せた搬送バスが 来たので、見ているとさとよし氏を発見。スタート時間まで話をしながらのんびり待つ。
山岳レースでは装備も各選手いろいろ工夫があったりするので、さとよし氏に荷物がどんな感じか 聞いてみたところ、水、食料とも充実していて荷物はけっこう重たかった。それに比べると自分の荷物は 半分ちょっとの重さと思われるので若干不安を感じる。でも、レースの距離、標高差、給水ポイントを 考えるとこれでなんとかなるはず。ちなみに装備品は大会側から指定された最低ラインで、 水分1リットル(スポーツドリンクを2倍に薄めたもの)、防寒着(ウィンドブレーカーの上着、 ロングタイツを用意)、ヘッドライト、食料(アミノバイタルのゼリー1個)となっている。 その他に、ランニング用の手袋、デジカメ。服装は半袖のランニング用シャツとランニングパンツ、 シューズはSALOMONのトレイルランシューズ。そうそう、今回はモニタを頼まれているカシオの ハートレートモニターを装着して走ることにしている。山を走り慣れていない自分にとっては ペースを作るために役に立つに違いない。
スタート時刻が近づいてきたのでスタートエリアに入ってハートレートモニターのスイッチを入れる。 最初は心拍数は70くらいだったが、スタートの直前になったら80〜90くらいに上がってきた。 気分が盛り上がってきたらしい(笑)スタートして最初の林道でちょっとだけ前に飛び出してみる、 が、すぐに後退する。やっぱり不整地は負荷が高く感じる。最初のほうですでに歩きたい気分になったが 比較的平坦な林道区間で歩くのはあまりにもかっこわるいので、ゆっくりと走っていく。 しばらくすると川を渡り登りの傾斜が急になってきた。ここからは少し歩きも交えて進む。 心拍数を見るとなぜか190前後になっていた。なぜかはわからないがあり得ない数値なので無視することにする。 このあたりで、ふと気がついた。この林道は、以前、冬のアドベンチャーレースでスノーシューで トレッキングしたところではないか?
しばらく狭くて急な林道を登り、おんたけスキー場の中腹の駐車場に出る。 間違いなく以前スノーシューで来たところだった。駐車場のところだけ舗装路なので少し速く走って ゲレンデのコースに入っていく。心拍数は160前後でだいたい体感と同じくらいの数値が出ていたので スキー場の斜面ではハートレートモニターを見ながら進むことにした。スキー場に出ると御岳の山頂が見えてくる。 見通しが利くので、ずっと前の方までランナーが連なっているのが見える。スキー場の急な斜面は歩いて 平坦なところはジョギングで通過するようにする。
スキー場の一番上に出たところで大会スタッフと思われる人に「だいたい90位くらい」と声を かけられた。真ん中よりも少し上の順位だ。スキー場の頂上から御岳に登る登山道まで少しだけ 舗装路を下る。鳥居をくぐって砂利道に入ると正面に御嶽が見えるようになった。 あとは真っ直ぐにひたすら登るだけだ。少し進むと砂利道が終わって階段になり道の両側の木の間を進む。 さらにしばらく行くと両側の木がなくなり岩場の登山道になる。心拍数は150前後とスキー場の時よりも 少し下がってきていた。呼吸は少しきついが登りがきつくなって動きがゆっくりになってきたから 下がってきたのかもしれない。
ところが、こまめに心拍数を見ていたらどんどん心拍数の表示が下がっていって70前後になり 最終的には表示が消えてしまった。スイッチを入れなおしてもまったく表示されず。 だんだん山頂が近づいてきて一番ハートレートモニターが活躍しそうな状況なのだが。 残念だったが仕方がないので心拍数を見ることはあきらめる。頂上近くになってきたところで 雪渓が現れた。段がつけてあってロープもあったので問題なく登れたが、帰りにここを下るときは ちょっと怖そうだ。変なところで滑って転んだらかなり下まで滑っていってしまうかもしれない。
山頂に到着・・・と思ったら、まだ9合目。順位はここで100位くらい。向かいからトップの選手が やってきたので、もうひとがんばりで折り返しまで行けるかなと思った(これが大間違い)。 9合目を通り過ぎると少しだけ下りになっていて向こう側にさらに高い山頂が見える。 「まだ、あんなところまで登らなければいけないのか・・・」と思った。下りのガレキをゆっくり走っていると 後ろから来たランナーに抜かされる。自分はときどき足をひねったりして「危ない!」と思いながら 走っているのに、山岳ランナーは普通にジョギングしているような感じ。なんで普通に走っているのか不思議だった。 下りでは少し離されるが登りになると追いつくことができる。このあたりでかなり寒さを感じるように なったためザックからウィンドブレーカーを出して着る。
大きな山頂に到着するとどうやらここが御岳の山頂のようだった。でも、コースはまだ折り返しにならず 山頂を通り過ぎてさらに先へ続いている。いったいどこまで行くのか、9合目ですれ違ったトップの 選手は自分が登るだけの間にこんなところまで走っていたのかとあきれるばかり。ガケのようなところを下りて さらに先へ進んでいくと、先にもう一つ山頂が見えた。まさかあの山頂も越えるのか?と思っていたら やっぱり前のランナーはその山頂に向かって登っていっている。進行方向の右手のほうを見ると 急斜面の雪渓があって、ロープが張ってあって人がいたので「もしかしてTバー(リフト)を設置してスキーしているのかな?」 と思っていた(あとから自分がそこを登ってくることになるとは!)。
また山頂を越えると右手に大きな池が見えてきた。乗鞍の山頂と似たような景色だ。 少しすると尾根を下りながら池の周りを回るように曲がっていく。ようやく折り返しになったようだ。 少し下りが続いたので「また登らなければいけないじゃないか!」と思う。やっとコースの半分といった ところだが、すでに登りの筋力はすっかり弱っていてゆっくり歩くので精一杯になりそうだった。 池の周りをぐるっと回ると行く手に壁のような斜面と、その上部に巨大な雪渓が見えた。 「やっぱりあれを登るんだろうなあ」と思いながら進む。疲れてはいたがちょっとした短い距離でも 下りや平地があれば走るようにして、その勢いで2歩でも3歩でも、その先の登りを進むように 心がけた。こういう積み重ねが重要らしい。
急斜面の登りに取り掛かる。もうふらふらの状態でときどき立ち止まってしまったが、 後続のランナーも似たような状態になっていてなかなか追いついてこなかった。 雪渓には大会スタッフがつけた段があったが一気に登ることはできず、 何歩か進んでは立ち止まってという感じ。他のランナーもゾンビのようにふらふらと登っていく。 雪渓を登りきって「あとは下りだけか?」と思ったら全然あまかった。 ここで登った雪渓は往路のときに「雪渓スキー?」と思ったところだった。 途中、往路と同じコースを通過するところで、最近アドベンチャーのほうでMTBの練習でご一緒した Mさんとすれ違った。そのすぐ後ろから、さとよし氏もやってきた。 さとよし氏には「この先まだまだ長いぞー」と声をかけて嫌がられる。
ここまで登りではあまり後ろから抜かされることはなかったが、この辺からはだんだん後ろから 追い越されるようになってきた。もう登りは限界となってきたころようやく見覚えのある 場所に出る。最初にトップ選手とすれ違った9合目にやっと到着した! ここで下りに備えてザックを下ろしゼリー食品を食べる。しかし微妙に高山病なのか、 実は脱水症状気味なのか胃が受け付けず半分だけ食べておしまい。その上なんだか立ち止まっていても 目が回っているような感じで真っ直ぐ立っていられない。こんな状況で下山開始。
下り始めてもまったくペースは上がらず後続のランナーに次々と抜かされていく。 悪いことに雨も降ってきて岩は滑るし、もう順位がどうとかいう考えはすっかりなくなり とにかくケガをせずに無事に下りれれば良いということだけ考えながら下りていく。 忘れかけていたがハートレートモニターのことを思い出しスイッチを入れる。そうしたら心拍数が出た。 いまさら出ても遅いような気もしたが表示されなかった原因はなんなんだろう。 途中の雪渓の下りは脚に力が入らなくて滑り落ちて行ってしまいそうだったので雪渓の脇のロープに しがみついて雪渓を滑って下りる。後から聞いた話だが上位選手は雪渓の真ん中を走って通過したらしい。 岩場の登山道とその下の階段も下りたところで少し暑くなってきたのでウィンドブレーカーを脱いで ザックにしまった。そして最後のスキー場の下り。下りで歩きっぱなしというわけにもいかないので ゆっくりジョグで下りていく。ゲレンデに入ってからゴールまでは約5kmということだったが、 ゲレンデがとても長く感じる。ゲレンデの下のほうまで降りると、ゴール地点の放送が聞こえてきて ゴールらしき場所が見えてきた。時計を見るとかろうじて6時間を切れるかどうかくらいだったので なんとか6時間は切ろうと思って力を入れる。
しかし気のせいか・・・、今自分が下りている斜面と別の山の上にゴール会場があるように見える(笑) 心拍数を見るとゲレンデの下りではずっと190〜200くらいだった。 そんなことはあり得ないが下りとか走っていて振動があると誤差が大きくなるのかもしれない。 ゲレンデを下りきる少し手前で胸につけていたハートレートモニターのベルトがずれてきて お腹のところに落ちてしまった。でもお腹にベルトがついていても心拍数は変わらず表示されていた。 ベルトに肩に引っ掛ける紐かなにかあって激しく動いてもずれないといいかもしれない。 もっときつく締めればいいのかもしれないが締め付け感があると長時間のレースでは使いにくいかも。
結局ゲレンデを下りきってからゴール直前で最後の登り。 もう精神的にも切れてしまっていてゴールは目の前なのに走ることができない。 走れないどころか最後の登りの階段で立ち止まってしまった。見上げるとすぐそこにゴールがあるのに。 そしてやっとのことでゴール。ぎりぎりで6時間を切れた。 ちなみに優勝タイムは3時間20分くらいだったとのこと・・・それ人間か? ゴールしてすぐにゴール脇の草むらに引っくり返ってしばらく行動不能。ゴールしたのが13時だったので 14時からの表彰式を見たかったが、疲れきっていてもたもたしていると本当に動けなくなってしまいそうだったので 温泉に行って、軽く食事をしようと思った。さとよし氏を待たなければいけないが、急げばさとよし氏のゴールまでに 温泉と食事を済ませることができるだろう。温泉に入り、食堂でかけそばを食べる。 やっぱりちょっとハンガーノック&脱水気味みたい。温泉の休憩場所で寝転んでさとよし氏に電話したら ちょうど少し前にゴールしたところだとのこと。とにかく無事にゴールできて良かった。 さとよし氏と待ち合わせ後、本格的に食事をしに行く。「累積標高差はどうだった?」と聞いたら、 5600mとのことだったが、これは登り下りの合計で、おそらく登り3000m、下り2600mといったところだろう。 自分のタイムは5時間59分31秒で標準タイムの38%となった(なかなか良い結果かな?)。 順位は205人中117位。山の上では100位以内だったようなので下りでだいぶ抜かされた。

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