スタート直後はわたるさん、台湾の選手に続いて3番目を走る。おそらくすぐ後ろに若岡さんと10位以内くらいのいつものメンバーが付いてきている(わざわざ後ろは見ない)。足は軽くロングステージに向けた調整はうまくいっている感じ。晴天だが気温もあまり高くなく地面は固いという自分の得意な状況。調子に乗り過ぎない程度に、しかし涼しく感じている間になるべく距離を稼ぎたいので力を抑えずに快調に走る。すぐ後ろには気配を感じなくなったので4番目以降とは少し距離が離れた感じで少し意外だった。しかし前の2人はロングなのにいつもよりも速いでしょ?というペースで離れていく。おそらくわたるさんに少しずつ差を付けられてきた台湾の選手が仕掛けているのではないかと思った。
CP1に到着したときすぐ後ろに選手がいる感じはない。水を補給してすぐに出発。ある程度時間を置いて後ろから「Good job!」という声援が聞こえた。後ろの集団との差は3分差くらいか(後ろは見ない)。始まってすぐから順位を気にしても仕方がないけど無理なく自分よりも上位の選手達に差を付けることができているので、あわよくば・・・とは考えてしまう。遠く海側のほうに黒っぽい雲?霧?の塊が見えるので日中になって暑くなる前に雲の下に入りたいなと思う。
今日のコースはコース説明で終盤の一部以外全て「easy」と書かれているので、ずっと固い地面かなと思っていたらだんだん砂が多くなってきた。左右に小さな砂丘が見えるようになり見たかった砂漠の景色になってくる。小さな砂丘を越えるときに砂丘の上で後ろを振り返ると若岡さんっぽい人影しか見えなかった。後ろのみなさんも入賞するためには今日が勝負のはずなのにどうしたんだろう?CP2の手前で撮影班の乗ったヘリが地上にいた。砂丘地帯は空撮は楽しみだな。
CP3を過ぎると固くて平らな地面。足場が柔らかいと時間がかかるので時にはこういう固い地面があると助かる。途中に1つだけ孤立した砂山がありピンクフラッグは壁のような斜面を登るように続いている。すぐ脇を迂回すれば平らなところだけ走っていけるのに。その後はまた走りやすい平地。30kmを超えたので後半に備えて走りながらお昼ご飯。少しペースを落としてドライフルーツをもりもり食べながら進む。CP4の手前で固い地面から塩が固まったような地面になり1歩1歩ぼこぼこと沈み込む感じ。アタカマのソルトフラットをうんとソフトにした感じ。CP4に到着して久しぶりに後ろを見るとソルトフラットの真ん中あたりを1人選手が進んでいる。たぶん若岡さんだろう。その後ろはまったく見えない。
自分の中の目標を年代別優勝、もしかしたら総合3位もありえると明確に設定して全力で走る。今までのステージと違い翌日のことを考える必要がないのですべての力を使える。崖をおりて海岸線を走り、また崖を登るという距離のわりに時間がかかった区間で後ろを振り返るが後続の選手はまったく見えない。CP6を過ぎて残り11km。呼吸が少し苦しいくらいの感じで追い込みに入る。後ろを1時間くらい離せれば総合3位まで行けるかもしれないが、CP4で後ろに見えていた若岡さんを1時間離すのは無理かな。見えていなかった選手たちには1時間くらいいける可能性がある。そう考えると自分の調子はいいのでコースの所要時間が長くなかなかフィニッシュできないほうが差を大きくできるので「まだキャンプ地見えてくるな」と思いながら走った。さすがに疲れてきてエネルギー切れっぽくなってきたので最後のジェルを補給。するとすぐにキャンプ地が見えた。霧で見通しがよくなかったのですぐそばに来るまで気が付かなかった。できすぎの3位でフィニッシュ。
最終的な結果がどうなるかはわからないが、最後になると思われる砂漠レースで追い込み切って満足できる走りができたことが嬉しい。このステージの走りは砂漠レース自分史上2番目の快走だと思う。1番は南極のステージ2でトップタイでフィニッシュし自力で歩けなくなって船に担ぎこまれたとき。今回のロングコースは涼しかったことに助けられたのか全体的に到着が早い。深夜にならずに続々と選手が帰って来ていた。やっとレースを終えることができる幸せな気分で就寝。
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