11/26(月)ミケルセン湾のペンギンコロニー

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(写真1)デセプション島に上陸できず、さらに南へ向かう。
(写真2)ミケルセン湾のペンギンコロニーの島
(写真3)Plancius号

5時ごろ目を覚ますと外はすでに明るかった。夜24時に就寝するときには夕焼けのような空だったが明るくなるのは何時ごろなのだろう。体調は悪くないがさすがに疲労を感じる。もっとも毎日40km程度を続けて走る砂漠レースでは疲労のある状態で翌日もレースがあるのは当たり前なのだが。6時にレストランに行ってビュッフェの朝食を取る。予定通りであれば今日も8時ごろには上陸するようになるため準備を整えて7時にラウンジに行ってみる。デセプション島に到着していたためアウトデッキに出てみたところ強風で大変な感じ。その後すぐに強風のためアウトデッキに出ないように放送が入った。
 
7時30分に招集の放送が入り選手たちはラウンジに集まる。今日の予定地のデセプション島は強風のため上陸できず別の場所に向かうとのこと。もうしばらく休んでいられるのでとても嬉しい(笑)デセプション島は島全体が海底火山の外輪山になっていて海を囲んでいる地形。そのため船がわずかな隙間を通って外輪山の中に入っていくと風を防げるはず。それでも上陸できないということは、今日はレースはできないのかもしれない。ちなみにデセプション島は砂を掘ると温泉が出る場所で「南極で温泉が楽しめる」という観光地である。ただ近年は地面を掘ってはいけないというルールができ暖かいお湯に入るということはできないようだ。
 
海を見るとペンギンの群れが船と並走して泳ぎジャンプを繰り返している。デセプション島の湾から出て行くときには巨大な岩壁の間近を通過。南極は夏を迎えているといっても夏の始まりのため事前にネットで調べた感じよりも雪が多く真っ白な世界。しかし岩壁が垂直近くに切り立っているところは雪がついてなく波風に削られた荒々しい地形を見ることができる。
 
11時からペンギン勉強会をおこなうと放送が入る。南極観光船では移動中は暇なので丸1日移動の日は2回ほど南極探検の歴史などのレクチャーがおこなわれる。ほとんど英語聞き取れないしペンギンのことは知りたければ後からネットで調べてもよいので出席せず。ランチの時間になりラウンジに人が少なくなったのを見計らって大会主催者パソコンを確認しに行く。大会サイトから自分宛に来た応援メッセージの確認や現在までの順位記録を見ることができる。
 
順位は5位タイ。5位に7人が並ぶ大混戦。表彰対象の3位には昨日のコースで1周差(14km)つけられていてこれを追うのは相当きつそう。4位は半周差(7km)でここまでなら可能性はありそうかな。3位は女性のアンナ・マリーなので4位に追いつけば男子3位で表彰に届くかもしれない。まあ最も不安なロングステージをこのポジションで終えられたのは良かったかなと前向きに考える。昨日の終盤の動けなさぶりから考えたら5位タイ集団に差をつけられなくて良かった。制限時間がもっと長かったらなどと考えたら5位タイに残れたのも運が良かったと思える。まずはこの5位集団の中でトップに抜け出そう。
 
午後になり遠目にも明らかにそれとわかる巨大なペンギンのコロニーが見えてきた。ペンギンの集まっている場所は真っ白な雪面の中に茶色い塊のように見えている。午前中は曇り空で風が強かったが、いつの間にか日差しが出てきて風も穏やかになり今ならレースもできる気がする。アウトデッキに出てペンギンコロニーの写真を望遠で撮っていると15時に偵察隊が出てレース可能か判断するという。ある程度レースの準備をしているとブリーフィングを始めると放送が入ったのでいよいよレースかとラウンジへ集合。すっかりのんびり過ごしてからの突然レースというのは正直面倒くさい(笑)
 
すると今日はレースはおこなわず、これからペンギンのコロニーに上陸するという。RacingThePlanetの選手たちと観光者と共通のアクティビティでスノーシューかシーカヤックを選びガイドについて行くようになった。正直なところレースがおこなわれずにほっとした。自分の中で競技者の要素がだいぶ薄くなっているなと感じる。私はペンギンの着ぐるみを使う機会を伺っていたのと南極の氷でかき氷もしたかったためスノーシューを選択。他の日本人メンバーもみんなスノーシュー。レースに参加している人はほとんどスノーシューを選択していたと思う。シーカヤックは艇数も限られているためあまり大勢が希望してもできそうにない。

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(写真4)南極かき氷
(写真5)宍戸さん、私、ひろっち(数々の砂漠レースを共にしてきたくされ縁)
(写真6)南極シーカヤック
 

レースがあってもいいように準備をしていたのですぐに行動可能。レース用のザックは部屋に置いて防水バッグにペンギンの着ぐるみとかき氷のシロップを入れて出発。上陸地はミケルセン・ハーバーというところでジェンツーペンギンという種類がいるようだ。ペンギンのコロニーになっている場所は直径500mもないくらいの小さな島になっていて南極半島本体ではない。上陸するなりペンギンだらけ。島には木の小屋が建っていてアルゼンチンの国旗が描かれている。この島はペンギン観賞用の観光スポットとして管理されているのだろうか?ペンギンに着替えてスノーシューを装着。上陸したら自由時間のようで2~3時間は勝手にぶらぶらしていていいらしい。日差しは強くロングスリーブの上に薄いフリースのペンギンで全く寒くない。気温は10℃はあるのではないかと思う。ひろっちと武石さんもペンギンでうろうろしているので3人揃って写真を撮ったりして遊ぶ。外国人選手にもペンギンの着ぐるみは人気で一緒に写真を撮ろうと言われることも多い。外国人選手はおかしなことをして遊ぶのは好きなのに意外とこのようなお遊びグッズは持ってきていなかった。
 
そして南極かき氷。ペンギンのコロニーの島なので衛生的にはよくないだろうけど見た目は真っ白な雪だし少しくらい大丈夫だろうということで器に雪を入れてシロップをかける。そして試食・・・あまりおいしくない。おそらく雪が日中に少し解けて夜凍ってを繰り返し粒が大きくなっているのだろう。雪というよりは氷の粒を食べている感じでごりごりする。シロップを多めにかけてごまかしてみるものの早々にリタイア。とりあえず南極の氷(雪?)でかき氷をしたということでよしとする。島の真ん中には丘がありそこに登ると全方位素晴らしい景色。この辺りは島がたくさんあり水路のようになっている海に乗ってきた船「Plancius」号が浮かび、水路の両側は陸地になっていて山がそびえている。山は雪と氷で真っ白で鋭く切り立っているためいかにも高山という雰囲気だが実際の標高は500m程度だろうと思う。
 
2時間ほど遊んだ後、ゾディアックに乗り込み船へ戻る。帰りは少し回り道をして海に浮かんでいる氷の中を進んだり、氷山の近くでブルーアイスを見たりして楽しんだ。陽気なガイドさんで「私のオフィスへようこそ!」とか言っておしゃべりしていたら氷の中を突き進んでいるときに「ごつ!」と重い音がしてエンジン停止。モーターを大きな氷にぶつけてしまったようだ。再始動に少し手こずっていたがなんとか復帰。
 
船に戻るとディナーの時間。昨日のレース終了後のディナーはビュッフェだったが今日は肉か魚か聞かれる普通のディナーだった。宍戸さんが同室のオリビエは3位を目指しているようだと話をしていた。オリビエはサハラ・レースで4位になっったくらいの強いランナーなので当然狙ってくるだろう。オリビエも初日に失速していて5位タイで並んでいるが、膝に古傷を抱えていて調子が良くないらしく、初日は失速の後痛み止めを飲んでレースに復帰していたようだ。表彰を目指すのであれば上に4人いるという他にオリビエがどこまで上げてくるかというのも気になってしまうが、やれることは自分のベストを尽くすしかないし、とにかく5位集団から抜け出して単独5位になることからだ。それはオリビエに勝つということになってしまうのだが。
 
明日のスケジュールが張り出されていたので確認すると、午前10時から午後8時まで10時間ほど走るスケジュールになっていた。南極レースはちょっとしたことでスケジュールが変わるためスタートが遅れる可能性が高いが(少なくとも早くはならない)それでも最悪?10時間走ることを想定しておかなければならず「できればそんなに走りたくないなあ」と思った。23時に就寝。外にはきれいな夕焼けが見えていた。
 
 

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