ロゲイニングチャレンジ菅平大会(運営日記)
2008/09/13(土)〜15(月)
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■ロゲイニングチャレンジ菅平大会とは
2007年大会から自分が実行委員長を務めている大会。2002年から菅平高原を拠点とするTeam白樺が中心になって運営している。広大な競技エリアにたくさんのチェックポイントが設置され競技者は決められた時間内で好きな順番でチェックポイントを回り得点を集める。標高の高いところなど行くのが大変なところは得点が高くなっている。そのほかスタッフが絶対に行ってほしい場所は(景色が良いなど)高い得点が付けられることが多い。菅平大会は競技時間が「12時間」で国内では最も長時間のロゲイニング競技である。競技エリアは長野県菅平高原に収まらず群馬県嬬恋村まで広がる。このスケールの大きさからアドベンチャーレース愛好家を多く集めているレースである。今年は12時間の部に34チーム76名、3時間の部に92名の選手が出場しました。
■9/13(土)
朝4時半に愛知県の自宅を出発する。転勤前は菅平高原までは1時間ちょっとで行けていたが今はとても遠い。5時半ごろ名古屋で運営スタッフをピックアップする。中央道、長野道を通り長野ICで高速道路から降りる。県道を通ってホテル白樺荘に10時ちょっと過ぎに到着。去年から大会の当日はTeam白樺メンバーだけではなく近郊のアドベンチャー愛好家、マラソンランナー、登山家に手伝ってもらっている。今回も多彩なスタッフが集まった。コントロールの位置を説明し雨の降る中だったが設置スタッフ出発。去年は大会当日が大雨だったので明日は晴れてほしい。
大会本部に残ったのは実行委員長の自分、受付と事務全般を担当してくれるスタッフ2名、今回招待選手として来てもらっている井上氏である。井上氏とはサハラマラソンで知り合った仲間である。今回は3時間の部に出場するほか前夜パーティで講演をおこなってもらうことになっている。井上氏には講演の準備をおこなっていてもらい残りの3人で会場の案内や公式掲示板、受付の準備をおこなう。昼過ぎには今年もノルディックスポーツの方が白樺荘の前で即売会を開催してくれた。16時から12時間の部の選手受付開始。特にヘルプを求められなかったので完全に受付担当者に受付を任せることができ自分の準備に集中できた。
夕方18時から前夜パーティ開始。最初はビュッフェ形式での夕食で19時から井上氏の講演を始める。夕食は少し自分の皿に食べ物を持ってテーブルで他のスタッフと話をしていたらあっという間に食べるものがなくなってしまった。井上氏の講演は、まず最初にサハラマラソンの体験談。去年も佐藤くんにサハラマラソンの体験談をやってもらっているのでTeam白樺のイメージがサハラ砂漠になってしまうかな(笑)次に井上氏が去年からおこなっている「地球のかけらを世界へ届けに」の活動報告をおこなう。去年12月の東京〜鹿児島のランニングによる児童施設訪問のときには自分も名古屋から大阪までを一緒に走っているのでその紹介もしてくれた。すでに名前の知られている競技者とはまた違った活動の報告を参加者に楽しんでもらえたと思う。
■9/14(日)
朝4時に白樺荘の外に出て空を見上げると星が見えていた。昨日は雨が降っていたが今日は晴れそうだ。 少しすると競技者が白樺荘前に集まってきた。今回はスタート地点までバスで競技者を輸送することにしているので去年よりも集合時間を早くしている。選手集合時間の4時15分にはもう一つの指定宿「鈴蘭館」に宿泊した競技者を乗せたバスも到着した。まずは競技者にスタート地点が変更になったことを伝える。当初は嬬恋スキー場までバスで1時間近くかけて移動する予定だったが、嬬恋スキー場でおこなわれているオールナイトのコンサートのために警察が厳重な検問をおこなっているということだったので面倒は避けて菅平牧場をスタートにした。
菅平牧場は白樺荘から近いため当初のスタート時刻6時スタートだと待ち時間が長くなってしまうためスタート時刻は5時半に繰り上げ。まだ暗い中バスのヘッドライトの前で競技説明をおこなう。スタートの5時半ごろにはちょうどまわりが明るくなってきた。招待選手の井上氏にスタートの号令をかけてもらう。スタートと同時に競技者は菅平牧場、根子岳の登山道、四阿山高原へ続く道の3方向へ散らばっていく。コースの決まっていないロゲイニング特有のスタートシーンである。競技者を見送った後、小根子岳、四阿山に待機するスタッフ4人も登山を開始する。そして実はこの裏で朝暗いうちから前日に設置しきれなかったコントロールの設置をおこなっているスタッフもいる。
白樺荘に戻ってハッシュハウス(給食所)を設置する準備をおこなってから朝食にする。8時に菅平牧場のハッシュハウスにする車に水や食料を積んで出発。菅平牧場はよく晴れていて景色が素晴らしかった。ハッシュハウスのスタッフを残してジョギングで白樺荘へ戻る。少し休んで10時から3時間の部の受付を開始する。今回は3時間の部の競技者100人以上がこれからの2時間に受付にやってくるのでかなり混雑するかなと思っていたが思ったよりは混雑もなく処理することができた。12時半からシュナイダーゲレンデで3時間の部の競技説明をはじめる。
3時間の部のスタートは13時。良く晴れていて走ったらちょっと暑そうだ。スタートを見送ったあとは大会期間中で唯一のんびりできる時間帯になる。表彰式のことを考えたら昼ごはんでも昼寝でもできるはず・・・だった。昼食は焼きカレーにでもいくかなーと思っていたところに競技者がハチに刺されたとの連絡あり。スタッフが車で迎えに行き白樺荘に連れてくるという。車で菅平クリニックへ送って行くことにしていたら次々とハチに刺されたという通報が!「どうしたらいいですか?」と(実行委員長なのに・・・)ベテラン運営者(成績集計担当)の木村さんに聞くと「場所を特定して道を封鎖しましょう」と白樺荘に戻ってきた刺された人に場所を聞きスタッフ2名を出動させる。
ハチに刺された人を菅平クリニックに案内していると今度は小根子岳のスタッフから電話。足をケガした競技者に肩を貸して下山中とのこと。下山ルートを案内して一番近いところまで自分が車で迎えに行くことにする。この時点では下山中なので、ねんざ程度ですぐに輸送できると考えていた。峰の原高原に車を置いて登山道を走り始める(急斜面は歩いたけど)。登りながら白樺荘に電話を入れて念のため担架と可能であれば担架を持って出動できる人の確保を依頼する。白樺荘はすでにからっぽだしじきに3時間の部のゴールが来るから明らかに人不足。菅平牧場のハッシュハウスのスタッフに至急白樺荘に戻ってもらうように連絡する。救助に向かいつつもハチ関係、担架手配、白樺荘運営関係など次々と電話がかかってくる。
電話しながらも全力で登っていたらいつの間にかスタッフが下山してくるほうの登山道の分岐を過ぎてしまい根子岳に登ってしまっていた。本来なら標高1800〜1900mほどで下山中のスタッフと合流できるはずなのに、ふと気がつけば標高2100m付近・・・。一瞬どこにいるのかよくわからなかった。急いで避難小屋まで降りてから目指している登山道を登り返し始める。下山中のスタッフと電話が通じたときに現在の高度を聞いて行き違いのないようにしようやく合流することができた。ケガをした競技者は最初は「歩いて降りてくるくらいだから大丈夫だろう」と軽い気持ちで救出に向かったのだが見ると明らかに重症。
痛みで右足を地面につけない状態だったが、あまり「やばい」などと言って精神的にへこんでしまうといけないので(どちらにしろ降りるしかない)なるべく右足を使わなくていいようにサポートしながら少しずつ降りる。 夕日と雲海がすごくきれいなので「この景色を見れているのは我々だけですよー」とケガをした競技者(以下、Tさん)を励ます。避難小屋を過ぎてからは登山道が広くなったので上半身を2人、脚を1人が持って騎馬戦が変形したような形で休み休み運んでいく。下界では競技が終了し成績集計、表彰式の準備が始まっている。下山にはかなり時間がかかりそうだったし急ぎたくはなかったので他のスタッフに電話で連絡を取りながらすべてやってもらうことにした。
20時くらいになってさすがに「峰の原はまだかー」と焦り始めたころに、日詰さんと佐藤くんが迎えに来てくれた。すぐに峰の原に到着しTさんのチームメイトの車にTさんを乗せて日詰さんの先導で須坂病院へ向かってもらった。自分は残りのスタッフを車に乗せて白樺荘へ帰る。大会運営のほうは順調に表彰式まで終えたようだった。白樺荘で風呂に入り白樺荘レストランでスタッフ打ち上げ開始。食事をして少ししたら睡魔に耐えられなくなってきたので早めに抜けだして就寝。
■9/15(月)
朝は意外に早く目が覚めた。昨日作成できなかった表彰状の作成をおこなう。Tさんが白樺荘に戻ってきていてレストランで朝食にしていたのでご挨拶する。今回はケガしてしまったけどまた復帰して来年また出場してもらえるとうれしい。でも「楽しかった」という感想をいただけたのでそれは良かったなと思った。朝食後はコントロールの撤収に出かける。自分は米子の2ヵ所のみの撤収で車プラス少し歩き。白樺荘に戻ってから運営部屋の片付け。昼ごはんは焼きカレーに行ったが混んでいたのでやめた。16時半に白樺荘を出発して帰途に着く。
今回はいままでになかったトラブルがたくさんあり「万一の備え」で想定していたレベルを完全に超えてしまっていた。それでも全員が良い動きをしてベストを尽くすことはできたと思う。評価は参加された競技者に委ねることにするが、来年以降もさらに良い運営ができる体制を作っていきたいと思う。ただ一つ言えることは、競技の長時間化、大規模化でもはやTeam白樺だけでは運営しきれないということ。今後も近郊の協力者を開拓していく必要があるし運営に参加してメリットのある大会にしていかなければいけないと思う。それにしても、やっぱりみんなで大会を作っていくのって面白い!!(大変は大変だけど)