KOCCi懸垂下降講習会in奥多摩
2005/07/03(日)
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今回の懸垂下降講習会の会場は奥多摩の氷川キャンプ場。午前中は懸垂下降に使用する器具の解説、
それからキャンプ場内の高さ数メートルの壁を使って下降の手順の確認をおこなう。
午後はキャンプ場近くの橋の上から下の河原への空中懸垂下降をおこなう。
橋の高さは約30mでザイル(下降するロープ)の径は10mmのものと11mmのものが用意されていた。
★★★ 道具について ★★★
■ハーネス
アドベンチャーレースにはパッドの厚くない軽くて水に濡れても重くならないようなものが
適している。落下することを前提にしないためフリークライミング用などは適していない。
■下降器
エイト環を使用している。他にATC(確保器)やペツル・ストップなども下降器として使えるが、
エイト環が一番シンプルで使いやすそうだ。ATCの長所は軽量、省スペースであること。
上級者になるとカラビナを下降器の代わりにして下降することもできるらしい。
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■安全環付カラビナ
基本的には安全環付き(ネジを回してロックできる)のものを使用する。今回は4枚持って行った。
スリング2本に1つずつ、ハーネスのビレイループに1つ、プルージックループを
ハーネスのレッグループに取り付けるのに1つ使用した。
■スリング
セルフビレイ用のテープスリング(120cm)を2本、そのままでは長すぎるので2重にし短くして
使用している。今までスリングはハーネスの左右のギアラックに1本ずつ付けていたが、
懸垂下降時は自分の右側にザイルが来るようにして下降しているのでスリングは左側に2本まとめて
付けるようにした。
■バックアップ
なんらかのトラブルで落下(もしくは急激に下降)してしまったときにザイルに食い込んで落下を
止めるシステム。今回ペツル・シャントという器具を新たに用意して行ったが結局プルージックループを使用。
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★★★ 空中懸垂下降 ★★★
普通の懸垂下降は崖の上から降りたりするため足は崖に着けて体が崖に対して垂直になる体勢で
下降する。しかし崖がバンクしていたりして足を崖(もしくは壁)に着けることができない場合は
ロープ1本にぶら下がって下降する形になる。これを空中懸垂下降と言うらしい。
今回は橋の上から下降したため降り始めてすぐに足元がなくなり空中懸垂下降となった。
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★★★ 準備 ★★★
(1)セルフビレイを付ける
(2)下降器をザイルにセットする
(3)下降器をビレイループのカラビナに付け安全環を締める
(4)プルージックループを付ける
(5)ザイルに荷重し最終チェック
(6)セルフビレイを解除し下降を開始する
自分の場合(3)で安全環を締め忘れる傾向があることがわかった(危ねー!)。
他に注意する点はプルージックループが伸びきったときにエイト環に接触しないような位置、
長さになっていること。これが下降器に接触したり巻き込まれたりすると落下したときに
バックアップの役割を果たさず墜落してしまうことになる。
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★★★ 下降 ★★★
今回の空中懸垂下降の場合は最初だけ橋の側面に足をついて下降するため、橋がなくなるところで
足をはずす際に橋の下に入り込むようにぶら下がる。そのため足をはずす前に頭の位置が足よりも
低くするようにしないと橋に頭をぶつけてしまう。
自分の場合はザイルを体の右側にして下降するため右手をお尻の下に回すようにして腰の辺りの
衣服の摩擦も利用してブレーキをかける。ブレーキをかける右手が腰の横や体よりも上に来てしまうと
制動をかけることができず危険だ。下降しはじめのときは自分の下にあるザイルの重みで自然に
ブレーキがかかるので下降を止めるのは結構楽にできる。下に降りてくるとザイルの重みが
なくなって滑りやすくなってくるため安心することはできない。
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ザイルの径によっても下降するときの感覚が違ってくる。今回は径が10mmと11mmのロープを
使った。10mmのロープのほうが滑りやすい(ある意味下降しやすい)はずなんだけど、
実はあまり違いを感じることはできなかった。
先に10mmで降りたので、2本目は11mmで滑りにくかったはずだが、握力が落ちた分滑りにくいとは
感じなかったのかなと思った。またプルージックなどの効き具合などザイルの径が変わることに
よって全体のバランスが違ってくるらしいので、多くの経験を積むと良いということだった。
下降中はザイルをなるべく揺らさないようにして降りる必要がある。崖などからの下降中に
ザイルを揺らしながら下降していくと落石を起こすことがあるということ。他にザイル自体が
岩などにこすれて切れてしまう危険も出てくる。
ザイルを何本か使い、複数人が同時に下降する場合は誰か1人が先行したりしないように
全員の高さを合わせて下降する。これは誰かが崖に足を着いたときに落石が発生したとき
下にいる人に当たるととても危険なためだ。崖の下に人がいる場合もあるため落石を起こして
しまったら「落(ラク)!」と叫んで注意を呼びかけなければいけない。また、自分が崖の下に
いるときに落石が発生したら崖の下に寄るほうが危険を回避できるとのこと。
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★★★ バックアップの使用と解除 ★★★
スピードを止められなくなったときはバックアップシステムを使って止まることになる。
バックアップにはプルージックループやペツル・シャントなどあるが共通しているのは
止めるときにはバックアップから完全に手を離すこと。止められなくなると反射的に握ってしまうが
握ってしまうとさらに加速して落ちてしまうので注意が必要。講習中に一度試したが、
わかっていても落ち始めたときに一瞬バックアップを握り締めてしまった。
止まったらザイルに食い込んだバックアップを緩めないと再び下降することができないので
少し体を持ち上げて解除することになる。ペツル・シャントなどはレバーを握ると下降できるので
簡単そうだが、試した人の話によると下降をスムーズにコントロールするにはそれなりの練習が
必要になりそうだと言っていた。
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★★★ 感想 ★★★
今までの懸垂下降の経験は数回しかなかったのと、30mもの高さから降りたことがないこと、
完全な空中懸垂下降も初めてということでかなり緊張した。これは繰り返し練習して慣れるしか
ないらしい。練習して「何があっても必ず落下を止められる」という自信をつければ緊張も
しなくなってくると思う(あまり緊張しないのも問題だと思うが)。準備や操作自体はそんなに
難しいものではないが、確実にできていないと死亡事故もあり得るので無意識でも
きちんとできるようにしておきたい。
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