第22回サハラマラソン
レース結果分析
【1】 レース全体について

このレースは「世界一過酷なマラソン」とも言われているようだが(主催者が言っているだけとのうわさあり) 走ることだけに関して言えば、他にもたくさん過酷なものはあるのではと感じた。 ただ、自分で用意した装備のみで1週間砂漠で野宿しなければならないこと、 ステージレースで夜などは脚を休めることができる代わりにいろいろ考えてしまう時間ができてしまうことなど、 走る以外の部分でも負担がかかるということを合わせて考えると、確かに世界有数の過酷なレースと言えると思う。 またこのレースは必ずしも超人的な体力・精神力がなくてもチャレンジできるところが大きい。 運営スタッフがとても優秀で過酷な条件下でも「何があっても大丈夫」という安心感を与えてくれる。

出場者757人の中でリタイアは30人(完走率96%)とほとんどの人が完走している。 過酷な環境でこれだけ完走できる理由は何かなと考えると、

(1)みんな、費用、休暇など大きな代償を払ってきているので強い精神力を発揮する
(2)制限時間が緩いため体調が悪くなってもメディカルで治療(点滴など)して復活してくる

ということかなと想像しています。また今回は100人以上リタイアした去年の大会と比べて気象条件が かなり良かったようです。
 
【2】 個人の成績

ステージ 距離(km) タイム(時:分:秒) 順位 気温(℃) 湿度(%)
1 29.3 4:20:43 197 43 14
2 35.0 6:04:00 252 38.5 15
3 32.3 4:16:40 144 44.8 11
4 70.5 11:50:12 180 33 18
5 42.2 4:31:59 108 42 13
6 11.7 1:29:20 214 37 12
総合 221 32:32:54 164    
その他データ 出場者:757名(32カ国)
完走者:727名

レース全体の組み立てとしては序盤(ステージ1,2)は80%の力で様子見をしながら現地の気候に体を慣らし ステージ3か4あたりから順位を上げていこうと考えていた。実際にもだいたい予定通りにレースを進めることが できたと思う。ただ1日目に大きく体調を崩してしまったためステージ2はレース中の休憩を多くとった。 そのため後から振り返るともったいない成績になっている。ただ現地では記録よりもその日1日を乗り切れるか 不安を感じている状況だったため仕方のないところだろう。ステージ4についても万一途中でつぶれた場合に リタイアにつながる可能性、もしくは途中で長時間の休養が必要になってしまった場合にレースが終わってしまう (その後は完走することだけが目標になってしまう)ことを避けるために安全策をとった。 ステージ5のフルマラソンだけは100%の力を出し切った。 最終日も100%の気合で望んだが、ステージ5を100%で走ったダメージが大きかったのかペースを上げれなかった。 全体的には満足のできる成績で自分の実力で順当な順位だと思う。 ベストケースとして仮にステージ2のタイムを30分短縮した場合でも総合順位は154位とそれほど上がらない。

他の日本人選手とのタイム比較では、

井上くん:日本人1位、総合 27位(24時間28分11秒)
佐藤くん:日本人3位、総合225位(34時間55分12秒)

と、井上くんには予想以上に差をつけられ、佐藤くんには(失礼ながら)思ったよりも差をつけることができなかった。 練習量やフルマラソンの持ちタイムから井上くんと佐藤くんの中間からやや上を予想していたため、 安全策に走りすぎた部分もあったかもしれない。ちなみに井上くんと佐藤くんの中間のタイムを 自分の理論上の最大のパフォーマンスとすると、

最大パフォーマンス:総合110位(29時間41分41秒)

となる。この結果は100%で走ったステージ5(フルマラソン)の順位に一致している。 いずれにしても当初の目標の2桁順位(できれば参加者の上位1割以内)は考えが甘かったといえる。
 

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